莫大な権力を持ったヒロインが主人公を3億円で人権ごと買うところから始まる物語です。サイコホラーとラブコメとエロが混ざり合った物語が展開されます。
権力を用いて法外なことをするのが日常茶飯事であり、文章上ではぎりぎりR-18ではありませんが(たぶん)やっていることは言い逃れなくR-18なことを普通にやっているうえ、登場キャラたちもそれが当たり前のような顔をしているため、主人公と一緒に読者のほうも倫理観が徐々に壊れる感覚があります。ヒロインたちも誰もが一癖ある経歴・スキル・性格の面々ばかりであり、実に歪で退廃的な空間が醸成されています。読者の倫理観と理性が試される作品です。
最近読んだカクヨムの小説の中で一番面白いと思いました。
タイトルの通り、3億で買うところを書く小説だと思ったのですが良い意味で裏切られました。
主人公目線で書かれている小説なのですが、ネット小説によくある回想シーンだから一から十まですべて話したがるようなこともなく、無理に第三者視点にまわって脈絡のない文章を書くわけでもなく、ずっと意味のわからない考察をするつまらない文章というわけではないので違和感なく読むことが出来ます。
文章の構成はどこか書籍として販売されている小説と似ておりとても読みやすいものだと感じました。また、言葉遣いや表現、言い回しがとても知的で面白く見ていて飽きないような作品となっています。最後まで読み切りたいと深く思いました。