第2話

 紅い果実の木を切り倒したあと、小鬼の死骸を燃やしてから村に戻った少年。その彼を少女の声が呼び止める。


「シグ、良かった会えて!魔物屋さん来てるって‼」


 少女の名はヴァネッサ、村の外れにある教会で育った孤児で他の幼い孤児達の面倒を見ている。

 歳は17歳、Tシャツにショートパンツ、ニーソックスという服装にジャケットを羽織っている。

 投てきでも接近戦でも使える短剣を両腰に一本づつ装備しており、ジャケットのポッケや袖、内ポケットに複数の投てき用ナイフを仕込んでいる。

 一年ほど前、教会の主だった老神父が亡くなってから彼女が教会のリーダーとして活動してきた。


 魔物屋とはこの村の属している国が行っている政策で魔物の討伐に賞金を出す制度でこの大陸の多くの国がそれを行っている。

 大きな街ならばそのための人員が駐在しているのだが、小さな村や町では週に1〜3回ほど魔物屋と呼ばれる一団がおとずれ、討伐の証拠(主に魔物の首)と引き換えに賞金を渡すという仕組みだ。

 この村には週2回ほどのペースで来るが、滞在期間は半日足らずでもしそのタイミングを逃せばまたしばらく魔物の首を置いて置くことになる。


「何匹か追加ね!」


 そう言ったヴァネッサの両手にはシグの持つ袋と同じ物が握られていた。

 以前の換金後に討伐した魔物の物だ。

 

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