第15話 トラブル

 月曜日、みさと出勤。研究所に行く足取りは重い。何かある、きっととんでもないことが。


 あの日の夜、空の星が部分的に見えなかった。不吉な予感とは言えないが、何か違和感はある。


 週末、みさもお袋が一緒に寝て、たくさんしゃべっていたらしい。それはそれで良かったが…みさの家族にも挨拶に行かないとな。


【はると、何考えてるの?】


 おっと、仕事モードに切り替えないと、相変わらずの満員電車、リモートどうした?研究所なんか出来そうだが、やはり対面でないとならないのかな。


【相変わらず、凄い混んでるな〜と思ってさ】


【月曜日だもんね、憂鬱だよね】


 みさとこの距離、汗かいでるから抵抗あるけど、嬉しいことに、みさの香水いい香り。


 そう言えば、みさ、イヤリングしていたんだね。気が付かなかった。


【可愛いね、このイヤリング】


【気がついてくれたの!嬉しい!これ、サメなんだ】


 サメ!シャークですか?以外だな~なんか魚とは思ったけどサメとは…


【びっくりだね。サメ好きなの?】


【サメってさ、よく見ると可愛い顔してるじゃん】


解んない…怖いイメージしかないよ。


 でも、イヤリングを見せるため髪をかきあげる。みさ。すっごく可愛い!可愛すぎる!


※ガタン!!※


止まったぞ!電車。


※前の駅で車両点検のため一時停止しております。お急ぎのところご迷惑おかけいたします※


【はると、遅刻しちゃうかな?】


【困ったね、今日大事な日なのに…】


 さっきからうわの空…みさが可愛すぎて…こんなに可愛かったかな?意識してきて暑くなってきた。暑く、暑い!暑いぞ!


【はると、冷房弱いよね、この車両。弱冷房車だったっけ?】


【いや、違うね。なんでこんなに暑いんだろ?】


みさも汗かいてる。でも、なんでいい匂いなんだ?


 それに引き換え…デオドラントシート使うことも出来ない。


【はると、はい、ファン。どう涼しい?】


【ありがとう、みさのだから自分に使いなよ】


【はるとのほうが汗かいてるよ。こことか…ちょっと拭くね】


 いやー、やめてー、みさのハンカチでしょ?汗臭くなるよ。


【駄目。駄目!汗臭くなるよ】


【なんで、平気だよ。はるとのだもん】


 いや、そうかも知れないけどさ。みさに拭かれるってもの抵抗ある…って吹いてるじゃん。


【はるとの汗…ふふっ】


みさ、変な趣味?


【ありがとう。でも、もう拭かなくていいよ】


みさはふくれて…


【あのね、はるとのことの面倒を見たいの!解る?】


【解んないよ…なんで?】


【普通、旦那さんの面倒見るのは奥さんでしょ?】


旦那さんになってる。嬉しい!


………………痛!……………なんだ?デコピンされた?


【この暑いのに、なにしてんの?】


みさきさん!乗ってたの?


【おはようございます】


【はるとくん、みさちゃん、おはよう】


みさきさんも遅刻かな?


【今、メールしてたんだ。はるとくん達も遅刻しそうだと伝えておくね】


みさが、


【ありがとうございます。昨日も出勤だったんですか?】


【みさちゃん達が帰ったあとね、私も帰ったよ。、さき達は残っていたけど、さすがにシャワー浴びに帰ってると思うよ】


そりゃそうだね。


【それにしても、暑いな~。みさちゃんいいのもってるね】


【みさきさんもどうぞ。少しは涼しくなるかも】


【おー、涼しい!はるとくん大丈夫?気分悪いの?】


 違うんです。みさ、みさきさんに挟まれて…緊張して、どんどん汗が出てきて…


みさきさんが、心配して、


【はい、さきにはるとくんどうぞ!】


あー、涼しい…でも、これ、みさのだよね?


【ごめんね、みさちゃん。借りておいて…ヤキモチ焼いちゃうね】


みさ、ちょっと膨れっ面。


【別にいいですよ。それにしても動かないですね。みさきさん、メール返信きましたか?】


【うん、それがね、あちこちでトラブルみたい。この路線だけじゃないみたいだね。さき、るいは泊まりだったみたいだけど】


結局泊まったんだ。凄いな!女性陣!


【所長は?】


【車で…大渋滞みたいで。遅れてるって】


それにしても何が起きてるんだ?





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る