第13話 家族

 なんか、今日はしっかり食べてれない。お腹空いたな。慌てても月曜日まで何も解らないから。


【みさ、うちの近くの喫茶店に寄っていかない?】


【うん、お母さんも呼んでくれない?】


【ああ、そうか。たぶん夕飯食べてないかな。聞いてみるよ。いつも遅いからね】


 案の定食べてないと。出てこれるらしい。というよりも楽しみで仕方ないみたいだ。みさの存在が気になってるらしい。そりゃそうだね。


………………………喫茶店………………………


 ここの喫茶店はメニュー豊富。喫茶店なのに野菜炒め定食がおすすめ。お腹空いてる時はこれ!


【みさ、野菜炒め定食おすすめだから、これにしない?ガーリック効いてチョー美味いよ】


【お母さん待たなくていいの?】


【いいのいいの!みさと会えるってお洒落しようと時間かかってるんだよ。変わらないっての!】


【はると…そんなこと言っちゃ駄目だよ。女性はね、いつまでもお洒落で奇麗にいたいんだから】


【みさもそうなの?】


【そうだよ!将来、子供出来たらね、一緒に買い物行って姉妹ですか?とか言われたい!ペアとか買って!】


【娘限定じゃん】


【息子だったらね、一緒に飲みに行ってお姉さんですか?って言われたい!】


【こんな可愛い娘と買い物行きたいなー。うちには無愛想な息子しかいないからね〜】


 いつからいたの!ビビった〜もう声かけてよ。相変わらずだな〜ほら、みさびっくりして固まってる…


【お袋さ〜、みさ、固まってるじゃん】


【えー、みさちゃん!ごめんね。びっくりさせちゃって。はるとの連れてくる彼女ってほんとみんな可愛い娘ばかりで嬉しい!】


 おい、おい!,なんて発言。誰のことか、みさにはすぐ解るよ。


【あっ、すみません。緊張しちゃって、はじめまして。みさです。はるとさんとは職場で…】


お袋が話を遮って、みさの肩をポンっ、と


【かたーい!みさちゃん。リラッークス!】


【はい、すみません。まだ緊張がとれなくて】


お袋〜言うなよ〜言うなよ〜


【はると、そう言えば、りなちゃんはどうな…】


ほら予感的中!遮るしかない!


【わぁー!暑いね、いや今日も暑い!】


【はると?どうした?】


 お袋!みさは気にしてるからな!過去のことはもういいの!踏み込まないで!


【はると、あっ、はるとさん、もういいですよ。幼なじみだし、同じ職場だからね。海外出張中とはいえ、気にしなくて大丈夫です】


 はるとさん?その呼び方なに?みさ〜そんなに気を使わないで。


【みさちゃん。ごめんね。おばさん口軽くて…でもね、みさちゃん大歓迎!こんな素敵な娘さんがお嫁さんに来てくれるなんて!】


お袋!二度目だぞ!フライング!


【はるとって子供っぽいでしょ?今日も上司さんが迎えに来てくれてね。見送りした後ろ姿がお姉さんと弟みたいなね。はるとって不思議と連れてくる娘はみんな素敵な…】


【わぁー。いや、アイスコーヒー美味い!これにバニラアイス浮かべたら最高じゃない!マスター、新商品として販売すればいいよ!】


【はると…さん。それ、コーヒーフロート…】


【………】


もうヤダ!何言い出すか予測するのが疲れる…


【はるとさんとは、職場で救けてもらって、すごいんですよ。研究所で正社員として働くわけだから】


お袋に仕事の話は解らないと思うよ。


【みさ、お腹空いたよね。野菜炒め定食三つお願いします】


【はいよ!他には?】


【アイスコーヒー三つ】


 みさ、緊張してるね。こういうの慣れてないか…普通そうだよな。


【はるとさんのお母さん、お話が…】


【みさちゃん、はるとでいいよ。みんな昔からはるとって呼んでるから】


【はい。はると…とはお付き合いさせてもらっています。中途半端ではありません】


お袋はニコニコと笑顔で、


【はい、みさちゃん!大歓迎!はるとをよろしくね】


【はい、こちらこそよろしくお願いします】


【はるとは、小さい頃よく泣いて、甘えん坊で…】


もう、プライドぼろぼろ…お袋〜さっきから〜


みさは、笑って、


【甘えん坊って、大好きですよ。私、甘えられたいほうなので】


【なんていい娘!はると!みさちゃん悲しませたら、お母さん許さないよ!】


【解ってるよ、お袋、もう余計なこと言わないで。頼むから!】

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