第6話 切ない想い

【こんなの見たこと無いですよ!無数の魚の群れ】


さきさんは自慢げに、


【でしょ!これはね、マリンジェット乗れる特権!】


 泳いでる、姿を見ると、あまりにも華麗で、人魚ですかー、と思ってしまう。


 何で彼氏作らないんだろう?ビーチでもああやってナンパされてるのに、モテるはずなのに?


【はると、大丈夫?乗ってれば?】


【逆に酔うから海につかってるほうがいいです。さきさん、少し話せますか?】


【何?】


【何で彼氏作らないんですか?さきさんなら選び放題じゃないかと思うんですが…素敵だし、何もかも出来るから】


さきさん、俺の肩を抑えて、真剣な目で、


【はると、さっきから様子おかしい!何かあったの?嘘ついてもバレるよ。年下の男については慣れてるから!】


【………】


【じゃ、採用無しにしようかな~?】


【それは、何とかお願いします。ここに来て働きたい気持ちはさらに高ぶって…お願いします。ずっと見てきた夢なんで、お願いします】


【大丈夫!決まってるのに私でも取り消せないよ!じゃ、話して!】


【………すみません!レイジさんから!でも無理やり聞いたんで、悪いのは俺です!すみません】


【………そっか、聞いたんだ。別にレイジ怒らないけど、はると!特にるいには絶対に話さないで!】


【解りました!それに誰にも話しません。もちろんレイジさんも俺にしか話していません】


【ちょっと、あの小さな島に行かない?】


 マリンジェットでさきさんと、移動中。時折見える魚影、穏やかな波、照りつける日差し。


 島に近づくとさきさんはマリンジェットを停めて、波で流されないように固定して。慣れてる…


【はると、私はね、彼氏は生涯作らない。もちろん結婚もしない。それは、最高の男を知ってるから。もう永遠に戻れない最高のね】


【弟さんですよね?さきさんを守った、何かしつこくされていた男をぶっ飛ばしたって】


【そう!弟にしておくの勿体ないくらいのね、しかも聞いたでしょ?最後の最後まで私のこと守ってくれて…🥹思い出しちゃった…ごめん…ちょっと…】


 さきさん、下向いて、涙をこらえている。思えば今の研究所の仕事を終えるとき、必死になって止めてくれてた…かぶったのかな?弟さんと。


 さきさんのこんな姿見たくないよ!戻ってよ、いつものさきさんに!その思った瞬間、さきさんの肩に手を乗せて、抱き寄せて…


【はると?】


【好きなだけ泣いてください。誰も見てないです。俺の中にしまっておきます。なので、泣き終わったら、教えてください】


【はると!!!😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭】


 さきさん、好きなだけ泣いてね。涙で解決することもあるから。


 念のため、誰にも見えないように俺が包み込みます。ここは無人島だけど、ビーチ近いからね。




 


 

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