C−2
少し私から距離が遠いグループが話すのを盗み聞きしようと思ったら、まさかの私の話だった。
「そう言えば、万部の輩が言ってたじゃん」
「ああ、絵馬さんのやつね」
私と万部の差がすごいな。このことが格差というものか。と、いうか。ダブルスタンダードか。
「結局、大丈夫なのかな。彼女は。もっと酷いらしいけど。いじめじゃなくて」
「まああたしたちも行ってみようか」
「うん、しようか。そのように」
グループの一人の具視さんが頷いた。
「あれ、どこなんだっけ」
「鏃不依公園だよ」
「そうだそうだ」
「『そうらしい』って意味だよね。『そうだそうだ』ってさ」
確かに。彼女によるとそうだそうだ。少し面白く、くすっと笑い、その後すぐにこちらの盗み聞きが明らかになったか心配になり、顔が強張った。
真流丸円にぶつかると、かなり厄介だと学んだ。やはり何事も過去から学び、行動しないと。
「前を見て歩け、というと一昔前の精神論のように感じるけれど、この状況で言われるとやはり刺さるものがあるね。おっと、これも比喩であって、本当に刺されたわけじゃないよ。刺されたと言っても、蚊に刺されたとナイフに刺されたとじゃ、結構ニュアンスが変わるけど、そもそも本当に刺された訳じゃないから、その供養は無用だよ。僕にはそもそも通用しないしね。おっと、死ねって言ったわけじゃないどうか君は気にしないでほしいね」
本当に、よく話すなあ。そりゃ、みんなうざったいと言うのも納得。颯爽と無視をし、円を回避する。それから、隣を歩く
「あの、宇宙さ。この言葉を言うことが可能かな?」
「それは僕がやるべきことじゃなくない?」
「『あからさま、または高らかな花は暖かな刀、はたまた鞘がなかなかから回らなかった様がただただ速かったから、佐賀や香川はわざわざ測らなかった笑』と、言うだけだよ」
「だから、僕はそれをやる必要がないよ」
つまらないなあ、と私は言った。宇宙が言うことにより、救いが可能な命もあった気がするが、そこはもう仕方がないだろう。
「そんなことより大丈夫なのかい?」
「心配は君のやることなのかな」
「そりゃ、そうだよ。友達だから」
宇宙が友達、などど抜かすのも奇妙な気がし、私の顔は歪んだ。
「そんなに笑って、どうしたんだい?」
「いや、奇妙だな、と思ったんだ」
そして、と私は続ける
「大丈夫だよ。心配ない」
「本当かな」
私にゴン・フリークスみたいなことを言わすつもりかい、と言いそうになり、舌を停止した。
「まあ、無事に戻るよ」
「頑張ってね。助けるのは、僕がやることじゃないから」
コンパスを持って、私は公園に向かった。
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