第6話 ひとり戦争 二夜
僕にはひとり戦争を終結させる義務がある。それは僕の世界への価値観がそうさせるのだ。
この世界は多くの苦しみや悲しみがある。だけど、それ以上に愛や慈しみに溢れている。普段は気が付かない、隅の隅に隠れているがそれは確実に存在している。
例えば、花を愛でるように。満月夜の光を浴びるように。夕焼けを見るように。朝日が上っていくように。
僕はその在り方を否定したくない。だけど自分を肯定できない。
自分を否定した。そんな自分という存在を肯定したくない。
否定も肯定もしたくない。だけど、何かしら選ばなくてはならない。
だから、このひとり戦争が勃発した。
矛盾しているこの状況を正すために。
あるいは正そうとする何かの意義を見出すために。
僕ごときに知識と知恵では、上手く論理展開が上手く行かない。それでもない知恵を絞って、ひねり出す。
なぜなら、僕はかつて見ていた光景を、この世界は美しいということを、美しく見えていた景色を取り戻すためだ。
そのために、こんなくらい世界で、頭をフル回転させて、答えを追い求めた。
愚か者だと思う。だけど、愚か者だとしたら、愚直にも考えるしか答えは求められない。
「誰も答えてくれないのだから……」
先程から、言葉自体が矛盾している? そうだろう。あれから、ずっと考えているから、頭が痛い。時々、休息をしているが、この愚か者のスペックでは矛盾だらけだ。
言葉自体が矛盾し始めている。
それでも、集結しない。
たった一つの答えを導き出さない限り、幾数多の問が槍のように降ってくる。
己しかいない。
この世界の主人公は僕から、僕の力で答えを出すしかないんだ。
たとえ、幾数多の槍のような問が僕を襲ったとしてもだ。
僕の世界を、答えある世界にさせるために。
そして、僕は、自答していった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます