第5話虚偽申請の罪
ナマズにピンチが訪れた。
会社に通勤手当てを申請する際、会社近くのアパートに住んでいるのに、遠い実家から通っている事にして交通費の虚偽の申請をしていた。
しかし、僕と同じくナマズ顔の女事務員が嫌いな何者かの匿名の電話で発覚した。
総務課は怒った。
僕はそのウワサを聞いて、楽しみにしていた。ナマズ、クビにならんかなぁと。
総務課は、差額分130万円の支払いをナマズに命じた。
払えなければ、虚偽申請の罪でクビ。
しかし、どう切り抜けたのかノウノウと仕事をしていた。
タバコ休憩ばかりしながら、だらだらと作業する姿に僕は、落胆した。
僕とナマズの関係は最悪な状態になり、不倫相手の課長からパワハラを受ける事になる。
兎に角、僕が、「会社辞めます」と自ら言うまで酷い仕事内容であった。
僕は、耐えた。
周りも、僕をようやく認めてくれて、帰りに
一杯誘われる事が、多くなった。
周りは、僕を哀れんだ。「羽弦君を見ると、可哀想に思える」との意見が多かった。
馬鹿係長、パワハラ課長以外の先輩、同僚、後輩はプライベートでは明るい僕を受け入れ、係長は僕が仕事でミスさせるために、
仕事の出来ないやつばかり集めた、グループを作りその現場監督にさせて夜勤をさせた。
書類を作りながら、作業を手伝ったりした。
現場監督はそこまでしないのだが、手堅い陣形を取った。
それが、良かった。ノーミス。
周りから「羽弦再生工場」、「猛獣使い」、「48時間男」など、呼ばれ人気が出てきた。
さて、ナマズはこの僕にケンカを吹っ掛けるが立場は逆転している。ナマズの味方はいない。僕側に付くのは課の殆どであった。
係長も酒には呼ばれない。あんな飲み方をしたと、言いふらかしたからだ。
総スカンを食らった係長、ナマズは孤立した。
いい気味だと思った。
だって、5年間僕を馬鹿にして、こき使い、給料を騙し取りしていた奴らであったので、当然だ。
豊臣秀吉の気持ちが少し分かる気がした。
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