第14話 武器を作ろう ①
「——このくらいかな?」
武器を探して、私は師匠の研究室を物色する。
普段は几帳面で潔癖な師匠だけど、研究室はとても……いや、ものすごく散らかっている。
資料をまとめる用のテーブルは片付いているんだけど、それ以外は失敗作や製作途中の道具、ボツにした研究資料の紙切れなど様々なものが床に散乱していた。
さすがに危険な薬品なんかはキチンと戸棚にしまわれているけれど、実験的に作った武器なんかも転がっていて、不注意で転んだりすれば大怪我するかもしれないくらい危ないのだ。
「うん、取り回しもいい感じ」
そんなガラクタ? の山から私が取り出したのは小ぶりなナイフだった。
それを何回か振ってみて、扱えそうだなと判断するともう少し山を物色する。
私の身長くらいの大太刀……重い、却下。
私の身長くらいの盾……持ち上がらない却下。
私の身長くらいの……。
「なんか大きい物が多くない? 師匠ってそういう趣味?」
気が付くと、私の手はある一部分に吸い込まれていく。
絶壁ではない……うん、絶壁では…………考えるのは止めよう。
「いや、大丈夫。まだ可能性はある」
気分を切り替えて、物色を再開させる。
そうして、しばらくの間物色を続けていると、先程のナイフよりも大振りだけど、私でも振り回せそうな短剣を見つけた。
「これくらいの大きさならさっきのナイフよりも一回り強い付与が出来るし、これがいいかな?」
どちらも鞘があるし、武器を魔道具にするために必要な魔石をはめる穴も掘られているからちょうどいい。
私は二つの武器を持って、この部屋で資料をまとめる用のテーブル以外で唯一片付いている実験用のテーブルへと歩いていく。
そして、それらをテーブルに置くと、今度は付与に必要な材料の物色するために実験室を出て、保管庫へと急いだ。
「無色の魔石と……あとは軽量化に重量化……風系と炎……はマズいかな? 水? うーん、悩む……」
研究室とは違い、集められた材料がキレイに陳列している保管庫の中を歩いていく。
「というか、本当にここって広いよね。絶対に結界の外まで歩いてるのに、結界を出た感覚がないから良く分かんなくなっちゃう」
地下だけ結界を広げてる? いや、壁に補強と結界の性質を付与してるみたい。
これは使える——と、私は壁に付与された術式を覚えていきながらも、素材の吟味を続けていった。
そして——
「これだけあれば大丈夫! 師匠にはバレるだろうから怒られるかもしれないけど……まあ、それは薬を飲ませれば大丈夫!」
なにせ薬を飲ませてしまえば私にメロメロになってしまうのだから、怒られるなんてことも無い。
神父様も「最後が丸く収まれば途中なんて誰も気にしないもんだ……グビグビ……それに、必死に頑張っている姿を見せれば許してくれる人もいるさ……グビグビ……」って言ってたし……。
「うん、大丈夫大丈夫……うう、結構怖い……」
私は見つけた大量の素材を抱えて、研究室へと戻った。
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