第4話
———如月詩織side ———
『おい分かってんだろうな!?てめぇの母親なんだろ!?耳揃えて返して貰うぞ!!』
「はい…はい、申し訳ありません。お金はきっちり返しますので…」
『そのセリフ、こちとらもう何回も聞いてんだよ!…ったくよぉ…今日は7月20日か…。8月に入るまでにはキッチリ返してもらうからな!』
「はい…」
『返さなかったらてめぇを風俗に引っ張ってでも返して貰うからな!借りた700万用意しとけ!』
ブツッと切られたスマホ。
もうこの電話何回目だろ。
母が作った借金700万。数年前離婚してから母は狂ったようにホストクラブに通うようになった。
まあわたしも離婚した寂しさがそんなことで紛れるならって気にも留めなかったけどまさか暴力団から借金してるとは思いもしなかったんだよね。
気づいた時には借金がふくれにふくれて700万にもなってて、母はわたしに黙って蒸発。ホント笑えてくる。
さっきはなんとかさーちゃんに気づかれる前に家を後にしてよかったよ。
こんなところをさーちゃんに見られるわけにはいかないもん。
さーちゃんは1年前にバイトに来たけど第一印象はホントにパッとしない印象だったなぁ。
でも仕事は真面目にするし、気が利くし、裏表がないっていうのか、人の嫌がることとか陰口とかも言わないんだよね。
わたしは多少人より容姿が優れている自覚はある。たまに居酒屋の飲んだくれにしつこく絡まれた時もさーちゃんがさっと
「ウチはそういうお店じゃないんで!お客さん方、おとなしく帰っていただけますか?」
って助け舟を出してくれたりもしたなぁ。
そんなことされたら気になっちゃうのが女の子ってものじゃない?わたしってチョロいのかな?
だけど周りに聞いてみたら彼女がいるって…。まあそうだよね。あれだけ優良物件に彼女がいないわけないよねって思ってたけど…。
なかなかバイトに来ないさーちゃんに電話してみたらいつもと様子がおかしかった。
なんというか、今にも消えてしまいそうな声をしてたって言うのかな?
店長にゴリ押しして住所を聞いて半ば強引に押し掛けてみたけど案の定。
聞けば彼女にこっぴどくフラれたらしい。
コップから溢れた水みたいにさーちゃんがおいおいわたしの胸の中で泣いた時は……可愛いかったなぁぁぁぁぁ♡♡
元カノさんもバカだよねぇ。こんなにできた彼氏を手放すなんて。(笑)
自分から手放してくれるなんて思わなかったなぁ。おかげで奪う手間が省けたよ。(笑)
さーちゃん、あっこの「さーちゃん」って呼び方あまり好きじゃなかったんだよね。
仕方なく「君」だなんて言ってるけどなんて呼べばいいかな?普通に名前は面白くないし…。
…とりあえず、わたしは母の残した借金をどうにかしないといけないなぁ。
お母さんは今どうしてるんだろう。今頃知らない男のもとにでもいるのかな?
…今月ももうあと10日ほどしかない。
それまでに700万…。居酒屋バイトだけじゃ到底返しきれない。
返せなきゃわたしは風俗送り…。いやだな…。
…どうしよう。どこからかお金でも降ってこないかな。…ハハ、夢の見過ぎでしょわたし。
あれは…、サマージャンボ宝くじ…。7億かぁ。
当選発表7月31日…。
7億なんてあったら人生変わるんだろうなぁ。
ま、わたしに無縁な話なんだけどね。
なんとかして700万返さないと…。
待っててねさーちゃん♡
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😏😏😏
主人公の元カノの名字少し変更しました。
読んでくださった全ての方に感謝を。
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