第二章

後戻りできない選択

第9話 報復

☆高梨勇サイド☆


横島の誘いがあって俺は小説部というものに正式に入部する事になった。

部室の説明とかパーティーとかやってから。

その部活を終えての帰り道となる。

横島と一緒に帰っているととんでもない事態に発展した。


「.....」


何が起こったかと言えば。

いきなり金髪のピアスの男2名に絡まれたのである。

身長の高い大学生の不良っぽい感じの男2名。

俺は横島を隠しながら、ナンパなら他を当たれ、と言うが。

そいつらはこう話した。


「用があるのはお前だよ。高梨勇くん」


という感じで、だ。

俺は訳も分からず眉を顰めてから。

数秒考え俺は、まさかと思うが、と聞いた。

そしてこう言葉を発する。

これしかあり得ない。


「.....お前ら小鳥遊に関する事か」

「そーだねぇ」

「夢が泣いているんだわ。お前の様な野郎のせいでな」

「.....」


逆ギレにも程がある。

なんちゅう事をしているんだアイツは。

思いながら俺は絶句しながら。


怯えている横島を見ながら、すまないがこの子だけは帰してもいいか、と聞いてみると先に横島が答える。

い、いいえ。高梨くん。大丈夫、という感じで。


「でもお前。怯えている.....」

「だ、大丈夫だよ。私はいつもこんな感じだから。.....頼ってばかりだから」

「.....」


そんな感じで困惑していると男の1人が、どっちみち帰さないよ。警察とか通報されたら面倒だし、と言い放つ。

俺はその言葉を聞きながら、最低な真似は止めろ、と言うが。

男達は、やめないよー。.....あ。そういや言い忘れていたけど俺さ。八代の友人の田中って言うんで宜しく、と自己紹介をしてくる。

誰だよ。


「.....その八代っていうのは何か。.....夢の浮気相手か」

「まあそうだな。何だかその夢ちゃんが泣いているじゃん?八代が困っているじゃん?だから友人って事で見捨てられなくてさ」

「.....」

「右に同じだな。.....俺は佐藤だけど。田中との友人」

「いや。どうでも良いし知らんけど。つまり復讐か何かか?」

「つまりアンタへの復讐っつーよりかは報復?的な。許せねぇし」


だってよく考えてみてくんない?

夢ちゃんは困っている八代も困っている。

だったら俺は手助けしたくなるよねー、と言いながら俺に笑みを浮かべる。

ニット帽の奥から邪悪な感じを受ける。

やれやれ.....。


「つーわけで。ここでボコられてくんない?責任とって」

「.....嫌に決まっているだろ。望んでそんな事をする馬鹿が居るか?」

「あー。ならその子可愛いよね。.....引き渡せばそれもしないけど」

「.....死んでも断らせてもらう。彼女は関係ない」


するといきなり拳が飛んできた。

それから俺の腹にクリーンヒットする。

俺は、ぐ.....、と思いながら跪いた。

高梨くん!!!!!、と絶叫して駆け寄って来る横島。

俺は静止しながら、逃げろ。横島、と告げる。


「嫌に決まっている!何を言っているの.....!?」

「このままだとお前まで死ぬぞ。ヤバい」

「嫌だ.....私は.....」


そして横島は2人を睨む。

俺は痛みが疼きながら跪いたまま居ると。

んじゃかわい子ちゃん。君だけはこっちに来てねぇ、佐藤に手を引かれる。

無理矢理であり暴力的に。

止めろ!!!!!彼女に手を出すな!!!!!、と言うと。


「止めないよー」


横島が誘拐される。

と馬鹿にした感じで言われた。

あまりの痛みに立ち上がれない。

チェックメイトか、と思いながら居ると。


「やれやれ。君達は外道だね」


そんな声がした。

顔を上げると.....何故か知らないが。

新島先輩が居た。


え!!!!?、と思いながら新島先輩を見る。

そんな新島先輩からは相当な圧力を感じる。

静かに怒っている様に見えた。


「.....に、新島先輩。無理ですよ!コイツらマジに頭おかしいんで!」

「何だこのガキ?」

「そうだな.....」


よく分からねぇな、と笑いながら、田中達が新島先輩に掴みかかろうとした時。

素早く動いた新島先輩からベレー帽が落ちた。

猛烈な鉄拳が田中の腹に減り込んだ。

早すぎる速度でそして崩れ落ちた田中を見下ろす。

これは勇くんと渚がやられた分だね、と冷笑しながら。


「.....このガキ!!!!!」


憤慨して掴みかかろうとした佐藤の右手を捻る。

それから一気にそのまま地面に跪かせた。

いてて!!!!!、と言うが。


新島先輩は、この程度か?君達の抵抗は、とまた冷笑した。

すると田中が立ち上がる。

ハッとする新島先輩。


「.....舐めんなこのクソガキ!!!!!」


ポケットから取り出したのはまさかのスタンガンっぽい何かだ。

スイッチを入れるとバチバチと雷が擦られる様な電子音が。

俺はその姿を見ながら、新島先輩!!!!!、と俺は緊急事態で絶叫する。


そして痛みより先に体が動いていた。

それから、死ね!、と言った田中の頬に俺の拳が飛ぶ。

ギリギリでかましたストレートパンチだった。


「がっ.....」


田中は短い悲鳴をあげてからそのまま地面に仰向けに倒れる。

俺はその姿を見ながら目をパチクリした。

無我夢中だったからこんな事になるとは、と思いながら。

新島先輩が、やるじゃないか、と笑みを浮かべて言ってくれる。

そしてこの中で横島が警察に通報してくれた。


因みに俺は警察に事情を聞かれた後に病院に運ばれ。

腹の皮膚が殴られた衝撃で内出血を起こしていたが.....命に別状はなかった。

その中で治療中に考えたのは。

新島先輩の強さだ。

小説も書けて強いなんて。あんな特技があるとは、と思ってしまった。

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