第7話 渚の色
☆高梨勇サイド☆
横島とナーシャが仲良くする姿を見てから。
俺は笑みを浮かべていた。
それにしてもあの野郎は、思う。
あの女の本性を見抜けなかった俺も大概なものだとは思う。
その点を考慮しても俺が半分悪いとも言えるから。
全てを責める気はないが。
だけど今仲良くする気は分からん。
考えながら部室棟にやって来た。
先程の場所だ。
すると部室の入り口付近で声を掛けられた。
「よっ」
「貴方は?」
「私はこの部活。小説部の部長の新島ゆかな(にいじまゆかな)だ。宜しくねん」
「.....あ、よ、宜しくです」
「何だね?その反応は」
ジト目をする先輩。
目の前に赤いベレー帽を被った女子が居る。
小さな身長の少女だ。
ちんちくり.....じゃない。
特段、美少女とかじゃないがマスコットキャラの様な可愛さがある。
これが.....この少女が先輩で部長.....だと.....?
見た目は女子小学生.....。
「失礼な事を考えているね?君は」
「い、いえ。すいません。パイセン」
「パイセン?.....私はパイセンか?なあ。渚」
「あ、あはは.....そ、それは.....」
「.....ほほう。君も酷い反応だな」
苦笑いになる新島先輩。
その後に、だが言っておくが私は小学生ではない、と言いながら胸を張る。
それから私には妹がいるしな!、とも高笑いで話す。
パソコンのある室内を見渡しながら俺は驚く。
すると横島が、せ、先輩にはゆかりさんっていう妹さんであって後輩の女性が居るの、と耳打ちしてきた。
俺は驚きながら、そうなのか?、と反応する。
「そうだな。ゆかりは今別の部活に居るけど。でも同じだぞ。本に関わる部活だ」
「ほえー。そうなんですね.....」
「何を馬鹿にした様な感じの反応をしている。もうちょっと驚いてくれたまえ」
「い、いえ。これでも十分に驚いている方です」
「そうなのか?そうは見えんが」
そう言いながらジト目をまたする新島先輩。
まあ確かにそうだ。
俺は先輩を若干馬鹿にはしている。
弄りやすいからかな。
そう思いながら俺は苦笑いを浮かべた。
「そうだ。横島。他の部員は?」
「も、もう直ぐ来ると思うよ」
「そうなんだな」
「.....う、うん」
赤くなる横島。
すると新島先輩がピクッと眉を動かした。
俺は、?、を浮かべてその姿を見る。
そうしているといきなり引っ張られた。
それから何故か外に.....隣の空き教室に連れて行かれる。
鍵をかけられる。
え?.....え!?何だ一体!?
「せ、先輩.....!?」
「時に。.....君は渚の彼氏かね」
「い、いえ?俺は彼氏っていうか。友人です」
「.....そうか」
新島先輩はちょっと残念そうな顔をしながら窓に手を添えつつ外を見る。
それから、???、を浮かべている俺に対して、ちょっと君にお願いがある、と告げてきた。
俺は、はい?、という感じで反応すると。
君がここに来た時から思ったんだが、という感じで俺を見る新島先輩。
「君には渚を守ってほしいのだよ」
「新島先輩.....」
「彼女を守れる男が欲しいって思っていた。君なら信頼度も抜群に素晴らしいからね。渚を守ってほしい」
「.....それは元から思ってますよ。彼女はとても良い人だから。.....俺は友人として守って行くつもりです」
「そうか.....」
では次に。君は渚が好きかね?、と聞いてくる新島先輩。
俺は数秒考えてから、はぁ!!!!?、と絶句する。
そして、無いですよ!!!!!渚にそんな感情!、と大慌てになる。
すると新島先輩はニヤニヤしながら、本当かねぇ?、という感じになる。
俺は、仮にも本当に良い女性だとは思っています。だけど俺には勿体ないです、と断りを入れた。
新島先輩は、そうかね。.....本当に君は良い男だな、と反応してくる。
それはどういう意味なのだろうか。
「どういう意味ですか?」
「内緒だ。.....だけど君は噂通りの人だな。本当に」
「.....???」
目をパチクリしながら反応する俺。
その様子に新島先輩は唇に人差し指を添えながらウインクした。
ホームズにも秘密はあるのだよ。ワトソンくん、と言いながら、であるが。
その言葉に俺は苦笑した。
そして、そうですか、と回答しながら新島先輩を見る。
「しかし君は.....大変な苦労を乗り越えた男だな。やはり」
「.....そうですね。仮にも大変な苦労は重ねました」
「その分今からは私の部活でゆっくりしたまえ」
「はい」
「では戻ろうか」
そして新島先輩がドアを開けると。
そこに3人の男女が.....というか。
横島と.....誰だ?
そばかすのある男子と丸眼鏡の女子。
「やれやれ。何をしているのかね君達は」
背後からそんな声がする。
それから新島先輩は呆れる。
俺は、知り合いですか?、と聞いてみる。
すると苦笑いを浮かべながら、私の部活の部員だよ、と呆れる様な感じで溜息を吐来ながら3人を見る新島先輩。
「す、すいません。止めようって話したんですけど.....」
「墨。それから洋子。全く君達は」
「全ての責任は俺っす.....」
「わ、私も止めようって話したんですけど.....」
墨と洋子。
部員の名前だろう。
そんな目を丸くしている俺に対して墨という男が立ち上がりながら向いてくる。
お!初めまして。噂は予々っす。俺は2年生の新道墨(しんどうすみ)って言います。宜しくです!、と笑顔になってそばかすの男は話した。
同級生なのか、と思いながら丸メガネの少女を見てみる。
「私は住田洋子(すみだようこ)です。1年生です」
「そうなんですね。宜しくです」
「それから私でとりま4人で小説部を、部活動をやっていた。.....そこに君が入るんだろう?高梨勇くん」
「!.....宜しくです」
「是非ともに宜しくね。.....さて。みんな。部室に戻ろう」
「り、っす!」
それから俺は新道と住田さんと。
みんなと一緒に部室に戻る。
そしてみんなでパイプ椅子に腰掛ける。
机で横に横島という感じで2体2で向き合って腰掛けた。
中央の奥に新島先輩という形であるが。
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