第6話 ポジション
☆ナーシャサイド☆
勇くんには女子の友人が居る。
その彼女の名前は横島渚。
とても勇くんを大切にしている女子である。
私は.....そのポジションが羨ましいと思ってしまう。
何故ならどれだけ頑張ってもそのポジションには立てないから。
勇くんを昔から知っているのが羨ましく感じた。
彼女は、優しさ、という取り柄で勇くんをサポートしている。
私はその姿を見ながら顎に手を添える。
「ナーシャ?どうしたの?」
そうして考えていると環がやって来た。
それから私を柔和に見てくる。
私はその環に、いや。ごめん。ちょっと考える事があってね、と答えながら伸びをしてみる。
すると環は私の席の前に座った。
「もしかして彼の事?」
「そうだね。.....彼の事だよ」
「.....良いなぁ。そんなに想えるって。とても大切な事だよね」
「.....彼は昔から変わらないからね。だから想いたくなっちゃう」
「ナーシャって一途だからね」
「そうだね。ずっと彼氏も作ってなかったしね」
そう言いながら私は環に笑みを浮かべる。
すると環は、彼がどうかしたの?、と心配げに聞いてくる。
私は、彼には.....羨ましい渚さんっていう女子の友人が居てね、と説明してみると。
そっか、と環は納得した。
それから、取られるかもしれないって思っているの?、と聞いてくる。
「違うよ。.....そんな真似はする気はないから。.....だけど彼女のポジションが羨ましいなって思って」
「.....ナーシャはずっと信じていたもんね。彼の事」
「そうだね。私は無実って知っていたから」
「ナーシャは凄いなぁ。そんな事私にできない」
「.....証拠を集めるのに苦労したけどね」
それでも諦めるよ普通は、と笑みをニコニコ浮かべながら私を見る環。
それから時間は次の時間に差し掛かる様でチャイムが鳴った。
環は、じゃあね。また後で、と笑顔で去って行く。
私はそれを見送ってから外を見る。
「.....」
成績優秀。
容姿端麗.....だけど。
私は勝てないポジションもある。
だから貴女は羨ましいんだよ、と私は渚さんに思いを寄せる。
それから次の授業を受けた。
☆
それから放課後になった。
私は教科書を仕舞いながら外を見る。
そして部活の時間になったので私は環とトイレに行っていたゆかりと一緒に外に出てから部室棟を目指していると。
大きな声がした。
「何でしょう?」
という感じで、だ。
私達は異変を感じながら歩いて行くと。
そこでは渚さんと勇くんと.....小鳥遊が争っていた。
何をしている。
「今更だなお前も。.....この状態で仲良くする?頭沸いている?バカじゃないのか」
「わ、私が悪かったから。.....考え直したから」
「これだけの事をして意味が分からんわ。ふざけんな」
「.....」
小鳥遊は必死に縋っている。
醜いものだな、と思いながら私は冷笑をする。
思いながら、小鳥遊さん、と声を掛けると。
小鳥遊はビクッとしながら顔を上げる。
「.....何」
「何、じゃないよね。.....今更何の用事?お金に目が眩んだ魔女め」
「魔女じゃないわ。お金に目が眩んだわけじゃない!」
「そうかな?お金に目が眩んでいるんだと思うけど。.....とにかくもう勇くんに話かけるのはやめてくれる?」
「.....何の権限で貴女はそう言っているの」
何の権限ってwww
私は鼻で笑いながら、貴方が全てを導いたんだから。もう二度と近付くな、と威嚇しながら小鳥遊という魔女を見る。
そして、わ、私もそう思う、と渚さんも言い出す。
すると小鳥遊は歯を食いしばってから、私が悪かったって言っているのに。勇。貴方とは身を重ねた仲でしょう!?、と憤慨し始めた。
何を逆ギレしているのだ。
確かにそれはそうだけど.....情けない。
「これは全て貴方が導いた事でしょう。お金を騙し取ろうとした。そして周りに嘘を吐いた。申し上げるのは以上としか言いようがないんだけど」
「.....私は.....お金を欲しがった訳じゃない」
「哀れだと思うね。本当に」
「.....覚えてなさい。横島もそうだけど!!!!!」
そしてそのまま小悪党の様に去って行く小鳥遊。
私は、はいはい、と言いながら見送る。
そうしていると渚さんが、ナーシャさん。ありがとうございます、と頭を下げてきながら私を見る。
私は、え?、という感じで反応する。
「.....私じゃどうしようもなかったです」
「そうかな?貴方も凄いと思うけど。渚さん」
「私はまだまだです。.....ナーシャさん程じゃないですよ」
「.....そっか。あ、ねえ渚さん」
「はい?」
「お友達にならない?」
渚さんは目を丸くして私を見る。
それからハッとして驚きながら勇くんの後ろに隠れる。
そして勇くんと私を交互に見てくる。
私はその姿に、可愛いなぁ、とか思ってしまった。
「.....渚さん。.....私は貴方の事をもっと知りたいって思うの。.....だからお友達になりたいなって」
「わ、私なんかが?」
「良いんじゃないか?横島。コイツなら信頼出来ると思うぞ」
「.....そ、そっか。じゃ、じゃあ.....」
「あ!それじゃ私とも!」
「私とも!!!!!」
環とゆかりがそう言う。
ヒェ!、と言いながら渚さんは勇くんの背後に直ぐに小動物の様に隠れる。
勇くんはその姿を見ながらクスクスと笑っていた。
私もその姿を見ながら笑みを溢す。
それから私は真顔になって小鳥遊が去った方角を見る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます