第272話

 サラさんとキャシーさん、二人とも見えない様に隠しながら宝箱を開けてる…


「…結果発表ーっ!」

 と思ったら急な大声!キャシーさん、いきなりどうしたの?


「どんどん、ぱふぱふ」

 サラさんまで?真顔で訳の分からない事を喋ってる…


「ケイト…何なの、あれ?」

 あれは何かの病気なの?私の聖属性魔法でどうにかなるかしら?


「『お約束』と言うらしいぞ。勇者様がいた世界の文化だそうだ」

 そうなんだ…不思議な文化もあるものね。


「アタシはワイバーンの卵が一つだ!」

 一つ?ワイバーンの卵が一つだけ…


「私もワイバーンの卵が一つだな」

 サラさんも一つか…私の聖属性魔法、あんまり役にたってないみたいね。


「メグ…お前、すげーな!!」


「…凄いんですか?」

 てっきり大した事ないなって言われるかと思ったのに…


「ああ、凄いぞ。ワイバーンの卵なんて滅多に出ないのに、私とキャシーの宝箱から同時に出るなんて凄い事なんだ」

 そうなんだ…ワイバーンの卵が1個でるだけでも凄いのね。


「いや〜、これで8万G儲かったな。メグと組めて良かったよ」

 良かった?ほんとに?


「そうだな、儲かったのも良かったが回復も助かった。メグ、これからもお願いしていいか?」

 あれ?私って…頼りにされてる?


「はい!!」

 戦力になれるか不安だったけど、必要とされてる…皆んなの力になれるって嬉しいな。


「なあ、ケイトとメグは開けないのか?」

 私達は売る予定があるから開けないけど、説明しようかと思ったら…


「ああ、バフならメグが居ればいつでも掛けられるからな。焦って開ける必要は無い」

 何だかケイトがそれらしい事を言ってごまかしてる…宝箱を売る話はしない方がいいのかしら?


「お前、人には開けさせといて…」

 キャシーさんがジト目でケイトをみてる…まあ、そうなるわよね。




「ねえ、サラさん達にあの話はしないの?」

 会議室で解散、宿に戻ってきて…夕食を食べながら気になった事を聞いてみたわ。


「宝箱を買い取って貰う話か?」


「それよ!400個買い取って貰うんだから、四人で100個ずつ集めたらいいんじゃないの?」

 そうすれば早く集まるし、四人とも儲かるしいいんじゃないの?


「メグ、お前は冒険者だろ?この話が依頼だと考えろ。依頼主は俺とメグを信用して、俺とメグに依頼してきたんだ…俺とメグが宝箱を集めるのが筋だろう?」


「そっか…二人でやるのが筋なのね」

 冒険者にはこういう心構えが必要なのね。


「それに俺らの儲けが減るだろう?話すにしても200個は売ってからだな。その後で四人で50個ずつ集めるのがギリギリの線だな。もちろん依頼主に許可を取ってからな」

 ケイト…貴女、こっちが本音でしょう?私もジト目でみちゃいそうになるわ…

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