第257話

「…やった!出来ました!でも、魔力を循環させた時みたいにはならないですね。魔力が触手で止まってます」

 触手での魔力吸収、やってみたら簡単に出来たわ。でも触手で止まっちゃうのよね。


「ええ、ですから吸収するだけなら問題にならないと言ったのです。

 ですがそれも練習を続ければ、触手が吸収した魔力をメグさん自身に取り込める様になりますよ」


「ほんとですか!…練習しなくちゃ」

 それが出来れば、魔物と戦って魔力の回復が出来ちゃうじゃない!ずっと戦ってられるって事?凄くない?


「まあ、練習は続けて頂くとして…触手からメグさんに魔力は取り込めなくても、空気中に魔力を放出する事は出来ますよね?」

 空気中に?どうなんだろう?


「空気中に放出…出来ますね」

 これは出来たわ。吸ったものを放出するだけだもん、簡単だわ。


「魔力の吸収と放出を素早く繰り返せば、対象を魔力枯渇に陥らせる事も可能です!

 メグさんが戦う時の、一つの選択肢として如何ですか?」

 魔物から魔力を奪って空気中に放出、それからまた吸収するのを繰り返すのか…


「魔力枯渇…気を失ったり、下手したら死んじゃうんですよね?」

 確かに何度も繰り返せば魔力枯渇を起こせそうよね。それが出来たら恐ろしい攻撃になりそうだわ。


「そうですね。そこまでいかなくても、相手に隙を作る事は出来ますよ。

 それにはなるべく早く相手の魔力を減らしたいので、残りの時間は魔力の吸収と放出の練習をしましょう」

 魔力枯渇までいかなくても、魔力が足りなくなれば疲れて動きが鈍りそうだもんね。

 それには素早く大量に吸収か…よし、やってやるわ!


「はい!練習します!」

 ミヤマさんの魔力、たくさん吸うから覚悟してくださいね。


「メグさん、触手は二本出せますよね?せっかくですから二本同時に練習しましょう」

 覚悟どころかその上をいってる!ミヤマさん、いくら私の吸収する技術が拙いからって二本同時はまずくないかしら?


「…ミヤマさん、そんなに魔力を吸収されても大丈夫なんですか?」

 ミヤマさんて、そんなに魔力量が高いって事ですか?そんなに自信を持つまでに何回転生したのかしら?


「じゃあ、私が空気中の魔力を吸収して、ミヤマさんに送ります!」

 エミリーさんが吸収した分の魔力を補ってくれるみたいね。


「それなら大丈夫ですね…いきますよ!」

 確かにこれなら安心して吸収できるわね。


「いっちゃってください!吸収と放出を同時に出来るのが理想ですからね」

 いきなり同時は難しいから、最初は吸収と放出の切り替えで手間取らない様に意識してやるわ。さあ、遠慮なく吸っちゃうわよ!

 






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