第94話
「メグ、こっちだぞ〜」
ケイトはもう酒場に居るわね。手を振って呼んでくれると助かるわ。
「お待たせ、ケイト」
今日は魔豚の討伐も時間が掛かったし、帰り際のカレンさんと話しもしたから、少し遅くなったかも知れないわね。
「とりあえず昼飯の注文しちまえ…で、第九階層はどうだった?」
第九階層?けっこう大変だったのよ。
「それがね、倒すのに三回も攻撃しなくちゃいけなかったのよ。避けて攻撃して避けて攻撃してって繰り返してると、時間が掛かって大変だったわね。
あ、注文お願いしまーす…」
魔豚の攻撃を食らう事は無かったから、楽勝と言えば楽勝なんだけど、時間が掛かるのは困りものよね。
「まあ、一人だとそうだろうなぁ」
ん?他の人は一人じゃ無いの?…そういえば第九階層の草原で何人かで固まってる人達がいたわね…
「普通は一人じゃないの?」
何人かで探索する方が普通なの?私みたいなのは特殊?
「人によるな。ソロのやつもいるし、いずれパーティー組むのを見越して、最初から組んで探索してるやつも居るしな」
なんだ、それなら一人でも気にする事無いわね。でも…
「組んで探索したら楽そうよね」
極端に言えば三人いれば魔豚に一回ずつ攻撃すれば直ぐに倒せるもんね。
「その代わり経験値が分散されるんだよ。そのせいで戦闘に参加したメンバーと参加しないメンバーで経験値に偏りが出来て揉めたりするんだよなぁ」
…ん?偏りが出来るって貰える経験値が違うって事よね?
「戦闘に参加するしないで偏るのは当たり前じゃないの?」
戦闘に参加しないんだから貰えなくても仕方ないじゃない。
「それだと回復職とか支援職とかが困るだろうが。それに戦闘に参加したやつの中でも誰がとどめを刺すのかで色々あったりな…」
そっか、直接戦闘はしてなくても、回復も支援も必要な事だもんね。それで経験値が貰えないのは困るわね。それにとどめ争いなんて事もあるのか…
「…それは面倒ね。そんな事で揉めるくらいなら一人の方がいいわ」
うん、その方が気楽よね…でも、こらから先の階層はもっと強い魔物が出てくるだろうし、信頼出来る人なら組んでもいいかな…
「まあ、メグが一人で探索するのも今のうちだけだ。第十階層を超えたら一緒に探索するつもりだからな。一気に進めるぞ」
「そうなの!知らなかったんだけど…」
初めて聞いたんだけど…
「初めて言ったからな。メグの『アレ』が解ける見込みが出来たから決めた事だ。そうでなければもっとゆっくり実力をつけながら進めるつもりだったんだが…」
『アレ』って呪いの事よね?…酒場で私が呪われてるなんて言えないか…
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