第82話
「今日はミヤマさんはどうしたんですか?」
第九階層へ移動する石柱に向かう道すがら、エミリーさんに尋ねてみたら…
「昨日、たぶん王都に行くと思うって言ってたから、今頃は馬車に揺られてるんじゃないかなぁ」
王都?私が暮らしてた街だわ…
「王都ですか?何か用事があるのかな…」
ミヤマさん、王都に知り合いでも居るのかしら?
「お師匠さんに勧められたみたいだけど、何の用事かまでは私も分からないの。私も一緒に行きたかったなぁ…」
一緒に行きたかったって…ミヤマさんとそんなに仲がいいのかしら?
「ミヤマさんが王都から帰ってきたら、さりげなく話を振って誘ってみれば?」
カレンさん、大胆なこと言うわね。普段のカレンさんからは考えられないけど、お友達と話してる時はこんな感じなの?
「私から誘うのか…ミヤマさん、一緒に行ってくれるかな?」
「エミリーが誘えばホイホイついてくるんじゃないの?ミヤマさん、エミリー大好きみたいだし」
「だ、大好きって、私とミヤマさんはそんな関係じゃ無いからね!……仲はいいけど」
「エミリー、分かってないね…ミヤマさんと二人で居るとこを側から見たら、イチャイチャしてる様にしか見えないからね?」
「イチャイチャなんてして無いですぅ〜、私は普通ですぅ〜」
「自覚が無いのって怖いわ〜」
…私は何を聞かされてるのかしら?友達同士ってこういう話をするの?
私は身近にこんな話の出来る友達が居なかったから、少し羨ましいなぁ…
「二人とも仲がいいですね」
私にもこんな友達が居れば毎日がもっと楽しいのかな?
「あっ!メグちゃん、変な話してごめんね」
「大丈夫です。私がミヤマさんについて聞いたからこうなったんだし」
エミリーさんにミヤマさんの事を聞くとこうなるっていうのは学習したわ。もう同じ過ちは繰り返さないわよ。
「メグさんは彼氏が出来てもダンジョンでイチャイチャしたらダメですよ?」
しませんよ?そんな事は。
「私は彼氏とかはまだ早いですよ。今は強くなりたいんで、そんな暇ないです」
それに私、呪われてるから…
「カレンはそんなこと言ってるけど、歳下彼氏が居たら絶対イチャイチャするよね?」
カレンさんてそういう人なんだ?人の中身って簡単には分からないわね。
「そんな居もしない歳下彼氏を居ると仮定した話なんて意味ないから。
それよりメグさん、第九階層に移動する石柱が見えましたよ」
「あれですね。早く第九階層で登録だけして、戻ってきましょう」
ようやくレベル上げに入れるわね。ここからは気を引き締めていかなきゃ。
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