第44話

 ミヤマさんに触手で何が出来るのか尋ねようと思ったけど…


「ん?……んぐ……んぐ……んぐ…何でしょうかね?」

 口に物が入ってるタイミングで聞いちゃったわ…ごめんなさい。


 …もう食べ終わったわよね?聞いても大丈夫よね?


「ミヤマさんて触手が使えるんですよね?触手ってどんな事が出来るんですか?」

 …もし、触手に何か出来る事があるなら知りたいの!

 今までは誰も教えてくれなかったから…知ってる人が居なかったから…もしミヤマさんが知ってるなら教えて欲しいの!


「私は触手を出して動かせるだけですね」


「えっ!それだけなんですか?」

 それなら私でも出来るわよ?…私が求めてた答えと違う…


「それだけですが…まずはそれで十分じゃないですかね?」


「でも、それだけで戦いに使えますか?」

 スライムとはそれで戦えるけど…もっと強い魔物相手でも通用するのかしら…


「ん〜、そうですねぇ…ケイトさんは剣で戦う様ですが、速く正確に剣を振るう敵がいたらどう思いますか?」

 何かしら?急にケイトと話し出したけど、まだ私の話は終わって無いわよ?


「俺か?あー、負けるつもりは無いが厄介ではあるな」

 ケイトも普通に答えてるし…


「触手も同じ事ですよ。速く正確に触手を動かす事が出来れば、厄介な武器になると思うんですよねぇ」

 …そういう事ね。


 確かに私も触手を出して動かせるけど…きっと私が思ってる『動かす』とミヤマさんが思ってる『動かす』は同じじゃ無いんだ…


「……考えただけで鬱陶しいな。敵にそんな奴がいたら面倒臭くてやってらんねーよ」

 ケイトは早く正確に動く触手を思い浮かべたのか嫌そうな顔をしてるわね。

 ケイトが思ってる『動かす』も私とは違うんだろうなぁ…


「だそうですよ?触手を動かすのは基本中の基本ですが、基本は大切だから基本なんです。基本を疎かにする訳にはいきませんねぇ」

 ちょっと!今、基本て5回も言ったわよ!


「そうですか…」

 触手を動かすのは基本で、それだけ大事なんだ…


「それに触手を上手く動かせると便利なんですよ〜。ほら、昨日言ったみたいに自分の背中を押したり出来ますしね」

 …それも『動かす』の一つではあるわね。


「あー、それは良さそうですね」


「メグさんも触手を覚える機会があったら試してみてください」

 ミヤマさん…もう、覚えてるのよ…


 私達の食事が届いたのを見て、ミヤマさんは席を立ったけど…もう少し話を聞きたかったなぁ…


「ケイト、早くご飯食べちゃいましょう。早く食べて練習するわよ!」

 少しでもミヤマさんが思ってる『動かす』に近づけなくちゃ…頑張るわよ!

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