第36話

「回復の人のお陰で楽できたわね。腰も楽になったし良かったわ」

 お風呂を済ませて部屋で買ってきた夕飯を食べた後、ケイトと話してたけど…自然と回復の時の話になったわね。


「ああ、変な奴だったが腕は確かだな」

 私の腰もケイトの膝も良くなったから腕はいいんだろうけど…確かに変わった人だったわね。


「それに…触手使うって言ってたわね。ほんとだと思う?」

 楽しそうに触手の話してたけど…


「ほんとじゃねーか?わざわざそんな嘘つく必要は無いだろう」


「そうよね…私、自分以外で触手使う人を初めて見たわ」


「まあ、触手を使う奴は珍しいし、使えたとしても人に言う奴は少ないだろうからな」

 それもそうね…楽しそうに話してる回復の人がおかしいのよね。


「人を投げたって言ってたわね」

 そんな事、ほんとに出来るのかしら?


「言ってたな…メグもやってみたらどうだ?」


「人を投げるなんて無理よ!」

 あんな細長い触手でどうやって投げるっていうのよ!


「いきなり人を投げろなんて言わねーよ!まずはスライムからに決まってるだろ?」


「スライムか…出来るかな?」


「最初から出来るとは思ってねーよ。出来る様に練習すればいいんだ」

 そっか…スライムを投げるには…


「まず掴まないと話にならないわね」

 掴まないと投げられないもんね。


「そうだな…メグ、この腕掴んでみろ」

 ケイトが右腕を横に伸ばして言ったわ。


「やってみる!」

 まずは触手を出して、ケイトの手首に向かって伸ばして…先端が手首の先まで届いたら、下を通してクルッと巻きつける…出来た!


「出来たな…そのまま動かせるのか?」

 巻きつけたままよね…出来るかしら?


「…こんな感じかしら?」

 そのまま動かす事は出来たけど…出来たんだけど…ケイトの腕は全然動かないわね…


「あー、スライムなら持ち上げられそうだが…人間を投げるには力が弱いな」

 まだまだ力不足か…


「ねえ、ケイト…私でも人を投げられる様になると思う?」

 今の触手じゃ人なんて投げられる気がしないんだけど…


「そのうち、なるんじゃねーか?レベルを上げるなりスキルを鍛えるなりすれば、触手の力も上がるだろうよ」

 やっぱり最終的にはそうなるのね…これはレベル上げと触手を鍛えるのを頑張るしかないわね!


「明日もダンジョンでレベル上げね!」

 そしていつかは人を投げられるくらいに強くならなきゃ!

 …人を投げる予定は無いわよ?私はそんなに野蛮じゃ無いからね?


「それは午後だな。午前中はカレンとゆっくり釣りしてくれ」


「釣り?釣りって魚を釣るアレ?」

 何でダンジョンで釣りなのよ?…ケイト疲れてるのかしら?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る