第34話

「今みたいなとこを押せばいいんですね?」

 明後日の事はとりあえずいいわ。今は何処押すのか確認しなきゃね。


「そうなんですけど、今のは自分だと押しにくいんですよねぇ。誰かに押して貰うか…触手でもあればいいんですが…」


——ビクッ

 …はあーーーっ、急に触手なんて言うからビックリしたじゃない…別に私の事を言ったんじゃ無いわよね?


 …あれ?…私の事みてる…話してるんだから見るのは当たり前か…でも…何か言いたそうにしてるみたいに見えるし…


「つかぬことをお伺いしますが、創星教会の第一支部の側の宿に泊まってませんか?」

 何で知ってるの!私、泊まってるとこなんて話して無いわよね!


「何で知ってる?」

 ケイトも警戒してるみたい…急に低い声を出して怖いわね…


「いや、昨夜イカ飯を食べたんですけどね…」

 イカ飯?イカ飯って何?何で急にイカ飯が出てくるの?


「イカ飯?何の話だ?」

 ほら、ケイトも混乱してるじゃない。


「最後まで聞いてくださいよ…それで、イカ飯にイカの足もついて来たんですけど、それを見て触手っぽいって言ったら、隣のテーブルの人がビクッとしましてね。あ、宿の食堂での話です」

 宿の食堂で…触手っぽいって言った…


「あの時の!」

 昨日の夜に夕食を食べ終わった時の話ね!


 …良かったぁ、私に触手って言ったんじゃ無かったのね…


「思い出してくれましたか?あの時、お姉さんもイカ飯を食べた後で、触手に例えられて不快に思ったんなら謝りたいなと思ってたんですよ」

 あの時は直ぐに二階に上がったから、謝る暇なんて無かったわよね…


「大丈夫です!触手が不快だなんて思ってませんから!」

 うん、ちょっとビックリしただけだから。


「なら、良かったです…いやぁ、そうですよね。触手は素晴らしいですから、不快になんて思いませんよね」

 …触手が…素晴らしい?…この人、何を言ってるのかしら?


「…触手は素晴らしいんですか?」

 …触手が素晴らしいなんて聞いた事無いわ…だってみんな触手の事を気持ち悪がって馬鹿にしてたし…


 …でも…私が触手を使うのを知らないで言ってるんだとしたら…ほんとにそう思ってるのかしら…


「アンタに触手の何が分かる?いい加減な事いうなよ?」

 ケイトが怒ってる…警戒して、混乱して、怒りだして、今日は忙しいわね…


 …何だろう?私も混乱してるのかな?ケイトが怒ってるのに他人事みたいに感じる…


「確かに触手の道は奥が深いですからね。まだまだ何も分かって無いのかも知れません。

 しかし、触手が素晴らしいのは分かりますよ?使ってて楽しいですからね」

 ケイトが怒ってるのに気にして無いわね…それより、触手を使ってるって言った?回復の人も触手を使うの?…ほんとかしら…












 

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