第10話

 その後もスライムを見つけては倒していたんだけど…


「何だか腰が痛いわね…」

 重だるい感じがして嫌だわ…あぁー、後ろに反らすのが気持ちいい…


「地面の方ばっかり見て腰が曲がってるからだな。ずっとそんな姿勢じゃ腰が痛くなって当たり前だぞ?」

 分かってたなら教えなさいよ!それより…


「地面見なきゃ見つからないじゃない!」

 半透明で見にくいし、地面に丸まってるんだし、視線を下げなきゃ見つからないわよ!


「もっと全体を見て、その中で違和感に気づける様になれ」

 全体を見ろって…ケイトの言ってる事は分かるんだけど…


「そんなの、冒険者になった初日に出来る事なの?」

 難しくて出来る気がしないんだけど?


「まず無理だな」


「無理な事を要求しないでよ!」

 何なのケイト?突っ込み待ちなの?


「出来なくてもそういう意識でやれ。漠然とやってるのと意識してやってるのじゃ、後になって差が出てくるぞ?」


「分かったわよ!やればいいんでしょ!」

 一応、先輩冒険者のいう事だし、聞いてあげるわよ。


「よし、分かったなら次のスライムを探せ。下だけじゃ無くて全体見るんだぞ?」

 いきなりは無理ね。交互にやりましょう…下を見たら全体を見て、また下を見て、全体を見て…


「…まあ、最初はそれでいいだろ」

 最初はこんな感じで、徐々に下を見る時間を減らしていけばいいのよね?

 そうしてスライムを探しながら探索を続けていたら…


「…レベル上がったみたい!」

 少し疲れが取れたみたい。何より腰が楽になったのがいいわね…ああ、良かった…


「そうか…よし、また触手でここ叩いてみろ。今のじゃなくて長い方な」

 ケイトが地面を指差して言ったけど、そこを叩けばいいのね?


「いいわよ…えいっ!」

 …さっきより威力が上がってる気がするわね。これがレベルアップの効果かしら?


「もう一回、同じところを叩いてみろ」


「いいけど…えいっ!」

 あれ?レベルアップ前にやった時よりズレが少なくなってない?これもレベルアップ効果なの?


「いいな…もう少しレベルが上がったら長いままでいけるんじゃねえか?」


「レベルが上がると違うのね…」

 もっとレベルを上げれば、もっと強い攻撃が出来る…


「まあな、極論を言えばスキルが無くてもレベルを上げれば強くなれる…けど、スキルが無いとレベルを上げるのが大変なんだがな」

 やっぱり大変なんだ…


「それでも、レベルを上げられない訳じゃ無いんでしょ?」


「ああ、時間は掛かるがスライムを倒してレベル100にする事だって出来るぞ。まずそんな奴は居ないけどな」

 私もそんな事はしないと思うけど、時間を掛ければどうにか出来るのはありがたいわね。

 それなら諦めずに済むもの。絶対、諦めないんだから…

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