第8話

「よし…じゃあ、出してみろ」

 ケイトと一緒に草原の奥まで来たけど、ここなら誰も見てないわよね?


「いくわよ…んーー、んっ!」

 私が触手を出す様に意識すると、右手の甲から出てきたわね。

 前はじっくり見れなかったから…と言うか私が見なかったんだけど。今回はしっかり見て、何が出来るのかも検証しなくちゃね。


 長さは1mくらいかしら?太さは3㎝、緑色で細長いのね。良かったわ、周りがヌメヌメしてなくて…


「それがメグの触手か……それで、動かせそうか?」


「やってみる!」

 私は頑張って動かそうとしたんだけど…


「風にそよいでる草にしか見えねーな」

 これじゃ攻撃は無理よね…こんな程度の動きじゃスライムも倒せないわ。


「せっかく右手から出てるんだ、そのまま振り回すか…」

 振り回すの?それなら出来そうだけど…


「メグ、ちょっとその触手でここ叩いてみろ」

 そう言って地面を指差してるけど、それくらい出来るわよ?


「えい!」

 右腕を振るとヒュッと空気を切るような音がして、触手の先端が地面に叩きつけられたけど…これ、いい感じじゃない?


「スライム倒すには問題無さそうだな。自分の手が痛くなったりしないか?」


「大丈夫!これでスキルで戦えるわね!」

 触手は使えないスキルじゃ無いって証明してやるんだから!


「まあ、待て…もう一回同じ場所を叩いてみろ。いいか?同じ場所だからな?」

 同じ場所?なんでわざわざそんな事させるのかしら?


「そんなの簡単よ、えいっ!……あれ?」

 ズレたわ…ちょっと失敗しちゃったわね。


「もう一回」


「えいっ!…何でズレるのよっ!」

 同じ場所に当たらないじゃない!


「そりゃ触手が長くてしなるからコントロールし辛い上に、メグの腕の振り方が一定じゃ無いからだろ?」


「これじゃ、スライムと戦えないの?」

 やっぱり触手は使えないのかしら…


「戦えない事は無いが、確実性に欠けるな…んー、そうだな。その触手の先の方を右手で握ってみろ。

 そしたら長さが半分になるし、しなりも減るから狙いをつけやすいだろ?」

 良かった…戦えはするのね。ただ確実性が足りないのか…

 でも長さを半分にしたら、確実性も出るのかしら?


「こうかしら?」

 触手の先を右手で握り込むと、何だか輪っかが潰れたみたいな形になったわね。


「それでもう一回叩いてみろ」


「分かったわ…えいっ!」

 ヒュッていうよりブンッて感じね。地面を叩いた手応えもさっきより重いわ。


「もう一回」


「えい!…今のおんなじところに当たったわよね?当たったでしょ?ねえ?」

 ちょっとはズレたかも知れないけど、長い時とは全然違うわ!


「当たったな…当面はこれでいくか。よし、スライム探すぞ」

 これでスライムと戦えるわね。

 やってやるわ!









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