第4話

「次は…当面の宿だな」

 タナカ商店を出た私達の次にやるべき事は宿探しの様ね。

 とは言っても、私は何処に宿が有るのか知らないわよ?ケイトは知ってるのかしら?


「なあメグ、飯は美味いけどギルドから遠い宿と、飯は普通だけどギルドから近い宿ならどっちがいい?」

 二つも知ってるみたいね。それなら決まっているわ。


「美味しいご飯が食べられる方に決まってますわ!」

 美味しいご飯が大事に決まってるじゃない。そんなの常識よ!


「そうか…じゃあ、行くか」

 ええ、行きましょう。美味しいご飯が待ってるわ。




「はぁ…はぁ…はぁ……まだ…ですの?」

 ギルドから遠いって、遠すぎ無いなかしら?…まさか街の外れまで来るなんて…

 それにギルドの前を通ったじゃない…先に冒険者登録すれば良かったのに…


「その森を抜けたら直ぐだ。頑張れ」


「頑張りますわ!」

 もう直ぐなのね…頑張るわよ。


「ほら、着いたぞ」


「…つ、疲れましたわぁ」

 森を抜けたらって…森も広いじゃない…ちょっと休んでいいかしら…


「部屋は二階だ。座り込んでないで早く部屋に行くぞ」

 階段!神は私にこんな試練を与えるのね…でも、負けないわ!


「はあーーっ、やっと休めますわ」

 二人部屋に入ると思わずベッドにダイブしちゃったわ。ケイトも居るのにはしたなかったわね。


「おい、メグ…その喋り方やめろって言ってるの分かってるか?」

 分かってるわよ…分かってるけど…


「そう言われても困りますわ…今までこれで生きて来たんですもの」

 そう簡単に習慣は変わらないわよ。


「生まれ変わるんじゃなかったのか?その程度の事も出来ないくらいなら冒険者になるなんてやめとけ。

 そうだな…二、三日聖都を観光して帰ればいいんじゃねえか?」

 その言い方は無いんじゃないかしら?私が嘘や冗談で生まれ変わると言ってると思ってるの?


「バカにしないで欲しいですわっ!私は本気ですのよっ!」


「お前こそ冒険者バカにすんなよ?そんな口調じゃ舐められるから言ってんだ。

 力のねえ奴が舐められてやっていけるほど冒険者は甘くねえんだよ」

 言われっぱなしは悔しいけど、冒険者をしていたケイトのいう事が正しいんでしょうね…


「………わかりましたわ」


「ましたわ?」


「もう、わかったわよ!」

 難しいけど、やってみるわ!


「分かればいい…よし、飯食いに行くぞ」

 お食事!楽しみにしてたの!一階の食堂よね?早くいくわよ!


「メニューは無いの?」

 席についたけどメニューが見当たらないわ。これじゃ何を頼んでいいのか分からないじゃない…


「ねえぞ、そんなもん。俺が頼んでやるから大人しくそれ食っとけ」

 助かったわ…美味しいの頼んでね。


「美味しいですわ!」

 あ…やっちゃった…


「お前なあ…」

 今のは仕方ないじゃない…料理が美味しすぎるのがイケないのよ。

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