第3話

「着きましたわ!」

 聖都に着きました。名残り惜しいけど、送ってくれた人達には帰って貰いました。

 当然の様にケイトは残ってるけど…いいのかしら?


「ああ、着いたな…朝に馬車で王都を出て、昼間に聖都に着いたな。

 ほんとは歩きで来て、夜営を経験させるつもりだったのに無事に着いちまったな」


「早く着いたならいいのですわ!」

 時間は大切ですもの。省ける時間は省いた方がいいわよね。


「………行くぞっ、こっちだ」

 ケイトったら何をムスッとしてるのかしら?可愛い顔が台無しだわ。


「…タナカ商店?」

 ケイトについて行くと一軒のお店に着いたんだけど…ここで装備を買うのかしら?


「元はタナカ武具店て伝説の武器職人の店だったんだけどな、今は冒険者に必要な物全般を扱ってるんだ。よし、入るぞ」

 伝説の武器職人…素敵な響きだわ。いつかは私も、そんな職人が作った武器を使える様になりたいわね。


「ごめんくださいませ!」

 色んな武器があるわね。二階もあるみたいだし、防具はそっちかしら?


「いらっしゃいませ…これは!ケイト様じゃありませんか!」

 あら?ケイトが言ってた知り合いってこの方かしら?


「よう、久し振りっ。今日はコイツの装備を一通り頼みたいんだ」

 コイツ?…そうね、私はもうお嬢様じゃ無いんですものね。


「お願いしますわ」

 私に相応しい装備を見繕ってくださいな。


「これは…確かに一通り必要ですね」

 私の黄色いドレスを見ながら何かを考え込んでいるわね。私の装備を考えてくれているのかしら?


「コイツはレベル1で戦闘経験は無しだ」

 今はそうね。でも、私はこれから成長するのよ!


「そうですか。スキルはどうです?」

 ………それは、触手だけなの。


「すぐに戦闘に使えそうなスキルは無いな」

 気を遣ってくれたのかしら?確かに触手しか無いなんて恥ずかしくて言えないわね。


「でしたらナイフと軽い装備から…」

 私の初めての装備、どうなるのかしら…




「これで如何でしょう?」

 女性従業員に色々着替えさせられたけど、やっと出来たわね。


「素敵ですわ!」

 白いズボンと緑のシャツに皮の胸当てと…何て言うのかしら?腕と脚にも皮の防具をつけて。

 ドレス?ドレスならお父様に貰ったマジックバッグに入れたわよ?便利よね。


「これで私も冒険者ですわ!」


「違うからな!冒険者って名乗っていいのはギルドに登録してからだ」

 分かってるわよ、それくらい。気分の問題よ。き、ぶ、ん!


「メグ、少し身体動かしてみろ。動きにくいところはねえか?」

 …いいわね。締め付けがキツくも無く、それなのにズレもしないし…


「大丈夫ですわ!ドレスより動きやすいですの!」

 これならダンジョンに行っても安心ね。魔物くらいこのナイフで一突きよ。

 たくさん倒して、レベルなんて直ぐに上げてやるんだから。

 待ってなさい!管理ダンジョン!




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