第2話

「気をつけて行くのですよ?マルグリット」

 お母様は優しく抱きしめてくれます。


「はい!お母様」


「マルグリット、辛かったらいつでも帰ってきていいんだからな」

 お父様は大きな手で頭を撫でてくれました。


「ありがとう、お父様。でも私、立派な冒険者になりますの!」

 見ていてください、お父様、お母様。私、生まれ変わってみせるわ。


「何で追放されるって言ってた奴が仲良く見送られてるんだよ…」

 うるさいわね…しばらく会えなくなるんだから邪魔しないでください。




「普通、追放する家が馬車なんか用意しないからな」

 馬車に揺られながらケイトがブツブツ言ってるけど…いいじゃありませんか。これで聖都までの道のりも安心です。


「お父様もお母様も優しいのですわ。普通と一緒にされたく無いのですわ」

 世界一のお父様とお母様です。だからこそ…私はこのままではいけないの。


「それに何だよ?この万全の護衛は?」

 我が家自慢の騎士達じゃない。ケイトは知らないのかしら?


「お嬢様を無事に聖都まで送り届けるのが我々の勤めです!」

 守る事に置いて、騎士達の右に出る者はいないもの。私達の旅の安全は約束された様なものね。


「頼りにしてますわ」

 ほんとに頼もしいわね。


「はっ!お任せください!」


「まあ、いいけどよ。ああ、それからなぁ…いつまでもそんな喋り方してんなよ?冒険者になるならもっとそれらしい喋り方にしろ。

 俺もお嬢様って呼ぶのやめるからな。そうだな…今日からメグって呼ぶからそのつもりでいろよ?」


「メグ…冒険者っぽくていいですわ!」

 家を出て生まれ変わるのです。新しい名前になるのもいいわね。


「その喋り方はやめろって…その格好もダメだぞ?新人でそんなドレス着てる冒険者なんて居ないからな?」

 そういえばケイトもいつものメイド服じゃないわね?ショートパンツでお腹なんて出して…風邪ひくわよ?


「冒険者の方はファッションに興味が無いんですのね」

 パーティーの時はどうしてるのかしら?


「ファッションより防御力なんだよ!聖都に行ったら最初に装備揃えるからな」

 新しいお洋服!早く聖都に着かないかしら?


「聖都に着くのが楽しみですわ!それで、どうして聖都なのかしら?」

 冒険者なら王都でもなれましたのに。


「聖都にした理由?管理ダンジョンがあって一番近いのが聖都なんだよ。それに、知り合いも居るしな」


「管理ダンジョンですの?」

 何かしら?普通のダンジョンとは違うのかしら?


「管理ダンジョンは無茶さえしなけりゃ普通のダンジョンより安全なんだよ。この先別のダンジョンに挑むとしても、管理ダンジョンで鍛えてからだな」


「管理ダンジョン…早く入りたいですわ!」

 私はそこで生まれ変わるのね!


「…お前、喋り方直す気ねえだろう?」

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