第16話 追懐(一)
仁美伯母が新湊に帰ったのは、私が大学卒業後就職してしばらくたった頃であった。しかし、伯母は東京に戻りたいと常々言っていた。私が仁美伯母に連絡すると「東京に行きたい。また東京に住みたい」と言うのである。その理由は、北陸の厳しい冬にあった。東京で育った者は、富山で冬を越すことが出来ないほど
仁美伯母が新湊に帰った当時は祖母も兄弟も生きていたし、幼なじみもいたので孤独になることはなかった。兄弟がみんな亡くなった今も、加代子と恵美子が仁美伯母の様子を見ているし、死んだ後も遺骨を先祖の墓に入れてもらえることが出来るのである。
仁美伯母は、若い頃に兄弟五人と一緒に上京した。他の四人は母親の他に、二女の
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