第3話

 5月の某日、俺は新作のライトノベルを買うために近くのEnimateに来ていた。

1年ぶりの新刊本当に楽しみだ。

だが、小説を書くのは、大変だと思うが、もう少し早く出してほしいとも思う。

1年ぶりだと、内容もあまり覚えてないから、読み直すのだがそれが結構つらい。

とにかく、楽しみにしていた新刊なので早く買って読みたい。

そんなどーでもいいことを考えていると、Enimateのライトノベルコーナーに着いた。

 

お、あった、あった。

とりあえず、この新刊を確保できて、良かった。

そのあと、俺は他に気になっていた本を買うことに決め、なんとなく店内をぶらついていた。

あのアニメのフィギュアか、かわいい。

フィギュアとか、アニメのグッズが色々あるが、俺はまだ購入したことはない。

それらを買ってしまうと、際限がなくなる気がして、購入は先延ばしにしている。

おっと、ここは少し苦手にしているコーナーだ。

ここは、いわゆるボーイズラブ、BLと呼ばれているところだ。

男としては、百合ものは別に抵抗はないが、どうしても男と男というのはどうしても苦手だ。

俺は、通り過ぎ際に、チラッとそのコーナーに目をやると、見知った顔の人と目が合った。

「なにしてるんですか、先輩。」

「うひゃ!」

なんだよ、うひゃって。

「クク、せ、先輩はこーゆうのが好きなんですね。」

やばい、笑いがこらえられない。

「違うし、これは柚紀がこーゆうの見るっていうからどんなものか気になったっだけだし。」

「なるほど、そーいうことだったんですね先輩。」

確かにそういうこともあるよな。

ん、ちょっと待ってよ。

「先輩、そのタイトル、2ってなってるんですけど。」

「あっ」

夜月はどんどん顔が赤くなっていく。

「これは、確定ですね。」

「そ、そーだよ。なんと、成が尊敬するかっこいい夜月先輩は実はBLも好きなのでした。どうだ、ギャップ萌えだろ?」

夜月は、夜月は顔が歪めながら、やけくそ気味に言った。

「ギャップもなにも、先輩はBLとかを興味を持っているのに、他の人の目が気になって堂々とできないタイプだと思っていました。」

うん、これは本当に最初のほうから思ってた。

「そうか、私はそんなに分かりやすいなのか。」

夜月は肩を落とした。

「たぶん、俺ぐらいじゃないですかね。分かってるの。」

「ほほう、それはなぜなんだ?」

先輩が水を得た魚のような目をしている。

これは、正直に言ったらやばい。

「そ、それは。」

「それは?」

やばい、これはやばい。

突然、声を掛けられる。

「すいません、あまり騒がれるとほかのお客様にご迷惑が掛かりますので。」

「「すいませんでした。」」

俺と先輩は、そのコーナーから離れ、レジで買い物を済ませ、店から出た。

「ちょっとさすがに、騒ぎすぎましたね。」

「そうだな、次からは気を付けよう。」

「そーいえば、お前は何を買ったんだ?」

「普通に今月の新刊ですよ。」

「どれどれ。」

夜月は成の袋を覗き込む。

「こーいうのは、大体本と本の間にちょっと恥ずかしい本を挟むんだよな。そんな鉄板ほんとにやるわけないか。」

「ちょっと待ってください、先輩。」

夜月が間の本を取り出す。

「なになに、『パンツ穿かない女の子でもいいですか?』ふ、ふーん。」

「いや、それはタイトルがあれなだけで普通のやつなので。」

「いやいや、無理しなくて。」

「無理してないですし。」

いや本当に、無理してないし。

「じゃあ、今日の私のことと成のこのことは二人の秘密だな。」

夜月は、子どもがいたずらが成功したみたいな顔でそう言った。

「そ、そうですね。」

そんなの言われたら死んでも話さないわ。



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