第一話 私の気になる人

私には気になるやつというか、気にさせているやつがいる。

そいつは唯一私の部活に入ってきてくれたやつで、棘 成という。

こいつは、中々のくせ者で、なにかと私をからかうとしてくる。

だが、あいつが

「漫画研究会に入りたいですけど、」

と言ってきてくれたときは本当に嬉しかった。

さすがに、私もかなりの人数を声をかけて誰も見向きをしてくれなかったときは本当に心にきた。

だから、私は本当にうれしかった。

でも、成は本当に私を気にさせる。例えば、これは3日前のことだ。

 

私は本当に漫画とかアニメが好きで、漫画研究会に入ってる。

しかし、私は成がどれだけ漫画とかアニメを知っているか知らないだから、私はテストを行うことにした。

「おい、成。今からお前にテストする。」

 「突然ですね。まーいいですけど。なんのテストですか?」

「漫画研究会なんだから、漫画とかに決まってるだろう。」

こいつは全く。当たり前のことだろう。しっかりしてくれ。

「僕はてっきり、先輩のことをテストするのかと思いました。」

「な、な、なにを言ってるんだ!」

夜月は、みるみる顔が赤くなった。

「お前、ま、まさか、私のこと!」

「冗談ですよ。で、本当のテスト始めてくださいよ。」

クソ、こいつは本当に、本当にもう。

「あれ?先輩さっき、なんか言いかけました?」

「なんでもない!」

こいつと一緒にいるとなんだか調子がくるう。

「そうですか、なんでもないんですか。そんなことはおいておいて、テストをやってくださいよ。」

「全く、お前のせいで出来てなかったのに。」

こいつは何もわかっていない。

「なんですか?」

「始めるぞ。」

そうだな。とりあえず、ジャブ程度から始めるか。

「国民的アニメで、色々な道具を出してくれるロボットが主人公を助ける話。」

「ネコえもん。」

「正解だ。」

これは、正解して当たり前だろう。

「では、2問目、かぐや姫様とと生徒会長の主人公が相手に告らせようとする話。」

「かぐや姫は告らせようとする。」

「正解だ。中々だな。」

これは、映画化もしたし、知っていても不思議じゃないか。

「第3問、7つ子の話で、」

「7等分の花嫁。」

「せ、正解。結構知ってるのね。」

ふーん。これも知ってるのか。これは、人気作だからね。

でも、成は結構なヲタクにかもしれない。もし、同志なら中々貴重な存在だからそうだったら嬉しいな。

「最終問題、これはかなり漫画アニメ好きじゃないと分からないと思うぞ。泣けるアニメとして、有名で主人公は異能力者のスカウトになり、各地に散らばっている異能力者を見つけ出していく話。」

これはかなり難しい。これは、ネットでは泣きアニメとして、有名だが普通の人は知る機会はないだろう。

「シュガーレット。」

「正解だ…。お前あれを知っているのか。」

「知ってますよ。あれいいですよね。最初はただの異能力系かなと思ったら、急展開で、主人公の本当の力が分かって、主人公がボロボロになりながらも、世界を救おうとして、最後にヒロインが抱きしめるシーンは泣きましたね。しかも、主人公が記憶がなくなってるなんてもう、やばかったです。」

「分かる、そうなんだよ。主人公が最初はいけ好かないやつかなって思ってたんだけど、本当はいいやつで。妹が死んじゃったときには、本当に死んじゃったの。とか思ったりして。」

こいつ、分かってるな。こいつは、私と同志だ。

「分かりますね。」

「なんか、嬉しいな。こーやって、好きな者同士で好きなものを話せるのは。」

夜月は、ニッコリと笑った。

すると、突然どうしたんだの顔が赤くなった。

「どうしたんだ、成?具合でも悪いのか?」

どうしたのだろうか。調子でも悪くなったか。

「いえ、大丈夫です。ちょっと暑くなっただけなんで。」

本当にそうなのだろうか。少し心配だ。

「おい、ちょっと顔を見せてみろ。」

そう言うと、夜月は成に顔を近づける。

「大丈夫ですって、先輩。」

成もそういうと、夜月の方を見て、二人の顔は20センチぐらいになった。

「うぁっ、」

っと、夜月は少し後ろに下がった。

お互いが恥ずかしく、お互い顔を見れなかった。

「成確かに暑いな。」

「そうでしょ、先輩。」

いや、本当に暑い。まだ5月というのに今年の夏は恐ろしいほど暑くなりそうだな。




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