素直になれば、幸せになれるラブコメ
さわい おくる
エピローグ
「成、いいか?この漫画のいいところはな、とにかくヒロインがかわいいんだよ!主人公に健気に尽くしているのに、結ばれない。もう主人公がいらないなら私の嫁になれって思うわ!」
と俺の先輩の針雪夜月は熱弁している。
そんな彼女は俺の漫画研究会の先輩で、俺の絶賛初恋中の相手である。
先輩は、身長は低く150センチほどだが、目は切れ長で髪も長く、小柄だが細いためスタイルもいい、おまけに成績も抜群なため完璧超人である。
しかし、先輩は人と話すのが苦手で、話しかけられても緊張してすぐに返せないため他の人から威圧感があるなど言われている。しかも、なぜかそんな人が漫画研究会にいるから、余計に怖がれている。
そんな先輩と俺が、いつ接点を持ったかは、1か月前に遡る。
「おい、成。お前はどこの部活が入るのか決めたのかよ?」
と言ってくるのは、島南斗。俺の幼馴染で、高校も一緒でいわゆる腐れ縁というやつだ。
しかも、中学でサッカー部のエースで、勉強もできたためかなりモテた。でも、こいつは告白されてもいつもはぐらかして、特定の相手とは付き合わない。軽薄な奴だ。それでも、俺が一緒にいるのは、優しいところもあるからなのだが、こいつには絶対には言わない。
「いや、決めてない。」
「そーなのか、中学と一緒で野球部に入らないのか?」
「入るつもりはないな。」
確かに、俺は中学校は野球部に入ったが中学は坊主にさせられたし、高校ではボールも硬球に変わって、危ないからはいるつもりはない。
「そんなお前はサッカー部か?」
「まぁな、そうなるかな。」
こいつのことだろうから、色んな部活から勧誘をうけているのだろうが。
こんな感じでどうでもいいことを話しながら、俺たちは靴を履き替え、玄関から出ていた。
「うわぁ、たくさん部活の勧誘がやってるな。」
「すげー人。」
野球部、サッカー部、柔道部、バスケ部、などなど多くの部活が勧誘を行っていた。
「おい、あれは島じゃねーか?」
「そうだよ、島だ、あいつに入ってもらったら、インターハイも夢じゃない。」
というようなことを言って、たくさんの部活の人がすごい勢いで走ってきた。
「おい、なんかすごい勢いで、来ているんだが。」
「おう、よかったな島。モテモテじゃねーか。俺は野暮なことはしない。じゃーな。」
「おい、なんかいいこと言った風で、俺を売るな。」
俺は、島に来た勧誘の人だかりをどうにか、抜けることが出来た。
「ふー、しんど。少しの間島とは距離を置こう。こんな感じが一週間も続くのは身が持たない。」
俺は、なんとなく部活の勧誘を見ていたところ、
『漫画研究会』
というチラシを突然渡された。
漫画研究会か、よくアニメとか漫画で出てくるやつか。本当に存在するんだな。
と、俺が顔を上げると、俺は固まった。
そこには、それこそアニメや漫画から出てきたような、きれいな人が前に立っていた。
「こ、こ、これ、よかったら。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
とんでもなくきれいな人だったな。
「おい、あの人に興味あるのか?」
と島が俺に話しかけてきた。
「なんだ、お前逃げれたのか。残念だ。」
「残念てなんだよ。それで、あの人は針雪夜月、俺たちの1つ上だ。めっちゃ美人なんだが、威圧感があって近よりがたいと有名らしいぞ。」
「そうなのか。」
その日から、俺は夜月先輩を目で追うようになっていた。
夜月先輩は部活の勧誘の一週間いろんな人に声をかけていたが、すべてダメだったようだ。
そんな感じだったので、夜月先輩が悲しそうに帰っていくところを何回も見た。
誰か入ってやってくれ、と思っていたが俺はあることに気づいた。
俺が入ればいいじゃないかと。
俺はこう見えても結構漫画とかアニメとか見てるしライトノベルとかも買ってるし、いわゆるヲタクという部類に入ると思う。
俺は、そう決心し勧誘最後の日も失敗し、トボトボと帰って行ってる先輩の肩をたたいた。
「あのー、漫画研究会に入りたいんですけど。」
「本当ですか!」
夜月先輩の顔がパァっと明るくなった。
「はい。」
「ありがとうございます。」
夜月先輩は、口角を上げ、顔をくしゃくしゃにして笑顔になった。
俺は心の中で、「可愛すぎんだろ!」と声に出したら市内中の聞こえるぐらい声で叫んだ。
その時が、俺がこの人のが先輩が好きだと感じた瞬間であり、先輩との長い関係の始まりだった。
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