第9話南極授業
南極授業とは・・・。
昭和基地と国内を衛星回線で結び、派遣教員が自身の計画に基づいてコンテンツを作成し、所属校や一般に向けて行う授業の事だ。
授業内容は、南極に関係するものであれば、専門教科は問わない。
「あー・・・、僕も先ほど聞きました。」
こんな老僕をお誘い下さるなんて須崎さんはなんと奥ゆかしい人ですね。」
眼がねの奥の瞳は、何だか楽しそうに笑っていた。
大曽根も釣られて微笑みを返した。
「須崎さんの旦那さんや子供達はどうするんでしょうね?」
南極の観測といっても楽では無い筈だ。
往復に役半年は掛かると思われる。
現地の昭和基地に滞在するのは、厳しく女性の須崎八代が、幾ら看護師免許を持っていたとしても南極のペンギン達やアザラシ達は歓迎してくれても極地の気候が歯節を向けて襲い掛かって来るのでは無いのでは無いのか?結局須崎さんに同行するのは体力的に僕が良いのでは?と、言い掛けようとしたが、止めて置いた。
朝イチの掛け合いで、大曽根が完敗していたからだ。
結局、その日のポーラスターの話題は南極観測隊の話で持ち切りだった。
大曽根甲の思惑は、思わぬ方向へとさ迷い、観測隊の参加の是非は有耶無耶になり、あれよあれよと大晦日がやって来た。
紅白歌合戦の時刻となって、新年もやって来るのが今年の煩悩も遠い昔の事と、記憶を向こうへ追いやり、こたつに入ってミカンでも剥いて、食べようとしたところ!テレビでは、こんなアナウンスがあった。
「南極観測隊の篠山静夫さんと須崎八代さんが、赤組を応援のメッセージを下さいました。」
「このお2人は、師弟関係にあり、須崎さんは看護師兼現職教職員で、家庭が有りながら観測隊へ参加して居られ、篠山さんは慶応義塾の文学部教授でした。
勿論現職なのですが、元々高校の校長先生であられ・・・。」
二人はアナウンスに合わせて微笑み手を振っていた。
それを観ながら大曽根は、昭和基地を日本の首都だと主張すれば、国土が広がるな・・・。
と、良
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