第9話 メリアス=スレッツ

「メリアス=スレッツと申します」


メリアスさんは、片足を後ろに引き、両手でスカートを裾を摘む。そして軽くスカートを持ち上げながら、膝を曲げて頭を下げて挨拶をした。

ご丁寧に。よく出来たかただ。


「お水で良ければ、お出しします」

「ありがとうございます」


メリアスさんは、コップに入った水を人数分出してくれた。

お茶じゃないんだ......とか思ってしまったが、ここは異世界。これが普通なのかも知れない。

水は、部屋の真ん中にあるオシャレな噴水のような所から取って来ていた。

あれ飲める水だったのか。


「それではメリアスさん。早速ですが、この果実に見覚えはありませんか?」


如月は、先程と同様にまたサナティオを見せた。


「......」


メリアスさんはジッとサナティオを眺め、様々な方向から見て回る。

その様子を、如月達も見つめている。

そしてメリアスさんは眉をひそめ、申し訳ございませんと言った。


「初めて見ました......私の知らない物です」

「......そうですか」


ここまでは予想通りだ。

別に何も不思議じゃない。植物の研究者だそうだが、知らないことも一つや二つぐらいあるだろう。


「逆に質問させてください」


今度は、メリアスさんからの質問だ。

少し意外だった。

勇者なんて、この世界の人達からすれば話しているだけでも恐れ多い存在だと思っていた。

この人は、中々の強者かもしれないな。


「この実について、どこまで知っているのですか?」


それに対して、如月はすぐに答える。


「実は、あまりよく知らないんです。ただ、強い毒性のものだと。これが町に広まってしまう前に、俺達で食い止めに来たんです」


如月は、少しだけぼかした情報を与えた。

町の代表の娘だからと言って、完全に信用出来る訳では無いという事なのだろう。

その答えにメリアスさんは納得したようで、大きく頷いていた。


「流石は勇者様。この町を気にかけてくださり、ありがとうございます」

「大した事じゃないです」

「私ではお力になれず、申し訳ございません」

「いえ、ご協力感謝します。何か分かった事がありましたら、また教えていただけると助かります」

「はい。勿論です」


情報無し......か。

いや、この町の植物学者ですら知らないと言うのだから、もうここまでサナティオは来ていないという事なのだろうか。


「綺麗な花達ですね」

「ありがとうございます」


早瀬さんが、辺り一面に広がる花を見て言った。

確かに綺麗だ。

一応俺は森の近くに住んでいたわけだが、こんなに綺麗な花は見た事がない。

どれも知らない、見たこともないような植物ばかりだ。


「一本、買っても良いですか?」

「申し訳ございません。この子達は売り物では無いので」

「はっ!ご、ごめんなさい!私てっきり......」

「いえ、よく勘違いされる方も多いので。お気になさらず」


どうやらここは、花屋では無かったみたいだ。

だがここまで沢山の植物の種類があり、オシャレな外観だとお店だと間違っても仕方ないだろう。俺だって勘違いしていた。

という事は、全て研究の為のもの言うことか。

それなのにサナティオを知らないというのは、一体どういう事なのだろうか。

サナティオ......やはり新種の植物なのだろうか。


「それでは、お願いしますね」

「はい。ありがとうございました」


俺達は、メリアスさんの研究所を後にした。

もうすっかり辺りは暗くなってしまって、人通りも少なくなって来てはいるが、やはり目立つ勇者パーティー。しばらく表へは出られそうに無い。

よって、俺達はまだ裏道を歩いていた。


「白ね」

「いや、黒だ」

「えぇ!?」


ありえない!と言った表情の可愛い早瀬さんには申し訳ないが、メリアスさんは黒だ。

メリアス=スレッツ。

俺からすれば、彼女は怪しい事この上ない。


「ど、どこが......?私には、良い人に見えたけど」

「まず、落ち着き方が嘘くさい所だ。人は嘘をつく時、目が泳いだりその人特有の癖が出てしまうもの。メリアスさんは、表情こそあまり変わらないが、それが逆に不自然に真顔を保っているようにも見える」


嘘というのは、誤魔化すのが難しい。

だから人はなるべく本当の事を、気付かれないよう遠回しに言うのだ。


「会話中、如月よりもサナティオばかり見ていた。まるで、目を合わせたくないかのように」


単に植物好きなだけという事もありえるが、それなら手に取って見ればいい。

それに、最後にサナティオをサンプルとして欲しいと、一言も言わなかったのにも違和感がある。植物に執着があるのなら、欲しがって当然だ。

もちろん、渡すことは出来なかったが。


「俺も同意見だな」

正志まさし君も!?」

「うん。でも絶対に彼女が犯人だとはまだ言い切れないけど、怪しい事は間違いない。『サナティオの事をどこまで知っているか』なんて、不自然な質問だと感じたね」


流石にメリアスさんが盗賊だとは言わないが、実はサナティオを独自に購入していて、使用していることを隠しているかもしれない。

そう考えると、俺達のやっている事は警察の薬物取り締まりみたいだな。

いや、実際にそうか。


「そんな......」

「まぁまだ確定した訳じゃない。何か隠しているのかどうか、これから探ろう。取り敢えず、まずは反対側の門とこっち側の門で、それぞれ見張りをしよう。敵を逃がさないようにね」


反対側の門とで二手に別れる。

この町には出入口が二つしかない。もしサナティオの売人が潜伏しているとして、逃げるのならその門のどちらかだ。

壁は登れるような高さじゃないし、もし登っていたとしても逆に目立つ。


「俺と豪一と野乃で、反対側を見張る。こっちは二人に任せてもいいかな」


二人とは、俺とミッシェルの事だろう。

ミッシェルは「任せてくれ!」と元気に返事をした。

自信満々だ。というより、勇者パーティーの実力を間近で見られるのが楽しみなのか。

ミッシェルは軽い戦闘狂だからな。強い奴と闘いたがる、サイヤ人のような性格だ。


「何かあったらすぐに連絡してくれ」


俺達は二手に別れた。




──────────




もうすっかり日も落ちて暗くなって来た頃。

取り敢えずは監視をする作戦で行くことにしたらしい。

北門は事情を説明して、門番に頼んでいる。

怪しいやつじゃなくても、誰もこの町から出さないようにと。

代わりに俺達はメリアスさんの監視だ。

こういう事は勇者らしく無いが、仕方ない。

俺は別に勇者らしい旅がしたくて、ここにいる訳じゃないしな。

そして、それぞれの配置についてから休憩をする事になった。

とは言え、監視をしながらの休憩だ。

メリアスさんの研究室が見える位置にある場所で居座ることにする。

もしメリアスさんが、サナティオの盗賊と何らかの繋がりがあるのであれば何らかの動きがあるはずだ。


「ここにしようか」


丁度いい場所に、机とベンチがあって屋根も付いている休憩所があったので、ここで監視する事にした。

机を挟んで、俺とミッシェルが隣。正面に早瀬さんという配置だ。

傍から見れば、ただの休憩している人達にしか見えないだろう。屋根によって陰が出来るので、俺達の顔も暗くて見えにくいというのも利点だ。

この世界の空気は澄んでいるのか、夜でも月明かりや星の光によって結構明るいからな。


「ふぅー、やっと座れたぁって感じ」


早瀬さんは座ったまま伸びをする。

早瀬さんは、固有魔法の関係上出来るだけ軽装備だ。そのお陰で、休憩を取る時に毎回装備を外す必要が無い。

二人分のスペースを広々と使い、姿勢を崩して座る早瀬さん。

早瀬さんは「重要なのは分かってるけど、ジッと見てるだけじゃつまんないよね」と言い、俺達にズイッと体を寄せた。

するとフワッと、良い匂いがし───────


「改めて自己紹介でもする?」

「そう......だな。ミッシェルは、まだ初めましてだもんな」

「それじゃ私から、早瀬はやせ 美月みづき......ってのはもう知ってるか。勇者パーティーでは尖兵を務めてます!固有魔法はこんな感じで───────」


ビュッという音と共に、正面から風が吹いて来た。驚いて目を瞑ってしまうと、もうそこには早瀬さんは居なかった。

そして「あっ」と言う言葉が出ると同時に、再び早瀬さんの姿が現れた。

後から来る風。

速すぎて、全く見えなかった。


「めちゃくちゃ速いんだぜ」


早瀬さんの固有魔法。それは、高速移動の『クイック』と呼ばれている。

音速をも超える速度で行動する事が出来る。

魔法発動中は早瀬さん自身の意識も高速化しており、周りはまるでスローモーション。

早瀬さんよりも速く動ける生物は、この世には存在しない事だろう。

重要な任務でも焦らずに余裕を持っているのは、誰よりも追いかけるのが速いからだろう。

とてつもなく、強い能力だ。


「ま、それだけなんだけどね」


早瀬さんは、何処から取って来たのか林檎のタルトを食べながらそう言った。

気付くと、俺達の目の前にも同じ物が置いてあった。

とても美味しそうなタルトだ。この世界では、お菓子やスイーツの種類はあまり豊富では無い。だがパイやタルトは、この世界でも人気なだけあって向こうの世界より美味しいものだった。


「あ、もちろんお金は払って来たから。と言っても置いて来ただけだけど。安心してね」

「悪いなわざわざ。俺達の分まで買って来て貰って」

「いやいや、歓迎会とか出来ないからさ。これはせめてもの気持ちだよ。勇者パーティーへようこそってね。特にミッシェルちゃんは初めましてだから、これからよろしくね」


そう言われたミッシェル本人は、意外な事に固まってしまっていた。

ミッシェルは何でも知っているかのような、いつでも余裕を持った態度でいた。少なくとも、俺の知っているミッシェルはそんな印象だ。

だが今は両目をかっ開いて、口を少し開けたまま完全にフリーズしてしまっている。

そして額からは少し汗が垂れていた。


「あ、あぁ......」

「ミッシェル?」

「にゃはは......驚いた......身体中がビリビリと痺れているような感覚。警戒する暇をも与えない程の速度。これが勇者パーティーか」


ミッシェルは、武者震いをしていた。

元王国騎士のミッシェルからしても、やはり勇者パーティーというのは伝説的な強さを持つ存在なのか。

そう言えば、初めてミッシェルに会った時、俺が元勇者パーティーだと明かした時にも驚いた表情をしていたな。


「じゃあ、次は私。名前はミッシェル=ヴィド=バスティ。見ての通り、獣人族さ。元王国騎士で、固有魔法は特に無いぜ」

「元王国騎士!?知らなかった......そんな凄い人だったなんて」

「にゃはは、いや王国騎士なんて誰でもなれるっての」


誰でもなれることは無いだろ。

それは流石に謙り過ぎだ。

王国騎士は、国王が選んだ国の超エリート集団で勇者パーティーを除いて、他の国を入れても最強と名高い兵士達だ。

確か、冒険者ギルドの猛者達も、国王騎士には刃向かえないと言われている。


「それにしても驚き過ぎじゃない?だって、今まですぐ側に居たわけでしょ?明来あくる君の」


ふぐっ。

早瀬さんに見られるだけで少しドキッとしてしまう。

重症だ。考え過ぎている。逆に気持ち悪いぞ。

落ち着け......自然体でいろ。

普通にするんだ。


「まぁそうだけど、だってアクルは......」


何だよ。

何でそんな目でこっちを見るんだ。やめろよ。

まるで俺に勇者パーティーっぽさが無いと、そう言いたげな目だ。

まぁ実際そうなんだがな。

だから勇者パーティーを追い出されてしまったのだ。


「あっはっはっは!私は別に、明来君を弱いだなんて思ったこと無いけどな」

「弱いだなんて言ってねぇけどな」

「あ......まぁとにかく、別に私だって大した事は無いよ。戦闘の才能なら、多分ミッシェルちゃんの方が上だろうし。速過ぎて誰も私の事見えてないから、サボっててもバレないしね。もしかしたら、敵なんて倒してないのかも」


なんちゃって、と。早瀬さんは可愛く笑った。

追放された俺に気を使ってくれ、初めましてのミッシェルと打ち解ける為に話してくれて、冗談を言って場を和ませてくれる。

やっぱり早瀬さんは凄い。

最後に早瀬さんに会った時よりかなり時間が経っているし、色々な苦難を経験して来たのだろう。随分と大人びて見えていたが、笑う姿は若々しくて、元気なままだ。

ずっと見えていたいくらい、眩しい笑顔。


「このタルト美味いな」


ミッシェルは、もう震えが止まったのかタルトを食べ始めていた。


「でしょ?私もここのタルトはよく食べてたんだよねぇ。もう一度来たら絶対に食べようと思ってたから、まだ売ってて良かったぁ」


そんなにこのタルトが好きだったのか。

なら、今度俺も作れるように練習しようかな......。

料理なら、一人で生きていくのに必要最低限の技術は持っているつもりだ。

ミッシェルだって、俺の料理をよく食べに来ていた。

自分で作るのは面倒だからとか何とか言っていた気もするが、一番の理由は美味しいからだと思いたい。

なら、スイーツぐらい作れるだろう。


「ねぇ、一つ聞いていいかな?」

「いくつでもどうぞ」

「じゃあ。二人は付き合ってるの?」

「ッ!?」


危うくタルトを喉につまらせて死んでしまう所だった。

そう言えば飲み物が無いな。

取り敢えず今は、持っている水で流した。


「だ、大丈夫?」

「あぁ......別に俺らは付き合ってる訳じゃない。たまたま家が近かったから、一緒に狩りをしたりしているだけだ」


必死で弁解する。

しかし考えてみれば、確かに付き合っていると勘違いされても、おかしくは無い距離感かもしれない。ミッシェルとは、そんなにずっと一緒に居るようなら意識はしていなかったが、何せ周りに他の人が誰も住んでいないからな。

顔を見られるのはギルドや市場ぐらいだろう。

そこで、二人一緒に歩いて二人一緒に帰る所を見れば、なんなら結婚していると勘違いされていてもおかしくはないな。


「なんで?何か問題でもあった?」


ミッシェルは、ニヤニヤとこちらを見ながら早瀬さんに問う。

こいつ......「どう?嫉妬した?」と言わんばかりの質問だ。

からかいやがって。


「いや別に......ただ気になってさ。ずっと二人で一緒に居るのかなぁ......って」


意外にも早瀬さんは、ちょっとモジモジしながら答えた。

何だ?何かあるような反応だな。いつもサバサバしているようなイメージの早瀬さんが、珍しく言葉を濁した。

まぁ何か、乙女心とか言うやつなのだろう。

そういう恋愛話は、口にするだけでも恥ずかしい。そんな所か......?


「そういうハヤセはどうなんだ?付き合ってる男とか居ないのか?」


てめぇミッシェル。

そういう質問は気軽にするんじゃあない。

さっきよりもイタズラ笑顔が増した。もう俺に嫌がらせをしているとしか思えない。

クソ!まだ心の準備が出来てないってのに!


「私?私は別に──────「きゃあああああ!!!」


悲鳴。

そしてその長後に、ボガンッ!!と爆発したかのような音が聞こえた。


「何だ!?」


近い。すぐそこだ。

そして次の悲鳴の後には、建物が一つ破壊された。

現場に行かなくても分かる。

近くの家がなぎ倒され、緑色のツタよのうなものが巻きついている。

触手のように伸びたツタをブンブン振り回し、破壊の限りを尽くす巨体が、見え隠れする。

魔物だ。


「ミッシェルちゃんはメリアスさんの保護!明来君は信号弾を!」

「早瀬さんは!?」

「私は魔物の討伐に向かう!」


そう言うと、瞬く間に早瀬さんの姿が消え去った。

ワンテンポ遅れて、ビュンッと風が吹く。

判断が早い。俺なんて、魔物と闘えるかどうかで迷っていた所だった。自分が恥ずかしくなる。


「流石は勇者パーティーって事か」


俺は、言われた通り信号弾を撃つ。

もちろんこの世界に信号弾など存在しない。

代わりに、フラグライトという光る鉱石を使う。

フラグライトは、魔力を送ることで特定の色の光を放つ特殊な石だ。

赤は魔物発生。

黄は魔物以外の危険。

黒は魔族。

緑は安全。

白は集合。

勇者パーティーはこれを利用して、信号弾のように空へ打ち上げることで遠距離での連絡を取っている。

今回は通常の魔物発生。つまり、打ち上げるのは赤だ。

ポケットから石を取り出し、赤のフラグライトだと確認する。

そして魔力を込め、思いっきり空へとぶん投げた。

バンッという音と共に、フラグライトは空中で弾け、赤色の光を放つ。

音と光の割に、爆発の火力は低い。故に、火薬の代わりにはならないのが残念な所。

だが、味方に情報を与えるには充分だ。


「......!」


バンッという音が、今度は向こうから聞こえた。

俺の信号よりほんの少し後。南門の方だ。

音の方角を見ると、空中に赤色の光が上がっていた。

どうやら向こうにも、こちらと同じように魔物が発生したようだ。


「両方の門付近で、同時に魔物が発生か......」


だが優先すべきはこちらの魔物だ。

俺は、すぐに早瀬さんのもとへ駆けつけた。

巨大な魔物。

遠くてサイズは分かりにくかったが、少なくとも五メートルか六メートルはあった。

いくら勇者パーティーとは言え、万が一という事がある。

俺は、全速力で現場へと辿り着いた。


「早瀬さん!大丈夫──────」


破壊された建物。

瓦礫と体液が撒き散らかされている中、銀色に輝く細剣を腰に納刀する人が一人。


「────すね」


速過ぎる。

もう既に、終わっていた。

残っていたのは、傷どころか汚れすら一つも無い綺麗な姿の早瀬さんと、細かく切り刻まれた魔物の死骸。

俺なんかが心配するのもおこがましい程。

戦闘シーンを見ていなくても、いや、現場にいた所でどうせ速過ぎて見えていなかったのだろうが、早瀬さんの強さがハッキリと分かった。

これなら、向こうの魔物も心配無いだろう。

何せ南門には勇者である如月が居るのだ。


「ん......?」


魔物の死骸。

少し、不可解だ。

この魔物は、俺が辺境の地の家でよく見た魔物に似ている。


「多分、プランタクルという魔物だな。中級の植物型だ」

「詳しいの?」

「まぁ、よく家の近くの森に居たから」


だからおかしいのだ。

植物型の魔物は、森にしか居ないはず。こんな町中に、しかも突然現れるだなんて不自然だ。


「何らかの理由で森以外の場所にもたまたま生息していた......としても、これだけ堅牢な壁に囲まれた町に、誰にも気付かれずに入っていたというのも変だ」

「確かに......あ、もしかして──────」

「アクル!!」


ミッシェルが、遠くから走って来ながら俺の名前を呼んだ。

随分と急いでいる様子だ。

もう魔物は早瀬さんのおかげで倒しているし、町は少し壊されてしまったが怪我人はいない。一件落着のはずだが。


「メリアスが居ない!」

「なに!?」

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