第4話 レベルアップと火焔付着

 『ガラクタ収集』!


 「うーんその名の通りのガラクタ…」


 飛んできたモンスターの牙のような物を掴むと手の握力によって簡単に崩れて消え散った。


 現在の迷宮ダンジョンの階層を知るため、そしてティエリの仲間と合流するため歩みを進める途中、辺りで使える物がないか探索する。


 「やっぱりそうだ、このスキル魔力消費量がとても少ない」


 『賢者の腕』サージュボーンの魔力消費量はとても大きいのとは対照的に、『ガラクタ収集』はほんの少ししか魔力を必要としないみたいだ。


 それじゃあもういっちょ


 『ガラクタ収集』!


  ピコン— 『ガラクタ収集』はレベルアップしました。

 

 久しぶりの効果音と無機質な声が頭に響く


  「わっ、スキルがレベルアップしたみたい」


「スキルは繰り返し何度も使用することでレベルアップし強化、派生していきます」

  

 ティエリによると通常の場合、スキルは100回以上は使用しないとレベルアップに必要な経験値は貯まらないらしい。


 つまりスキルのレベルアップが速度がおかしいってことかな?


 『ガラクタ収集』は特異なスキルであることや現在、迷宮ダンジョンのかなり深いとこにいることから獲得経験値に対してバフが掛かっていることなどが影響している可能性があるとティエリは教えてくれた。


 迷宮ダンジョンに来てからティアリには教えられてばかりだ。


 ティエリって何歳なんだろ、16歳の僕より身長は低いし僕と同じかそれ以下の歳に見える…


 「なんですか?こっちをジロジロ見て…」


 怪訝けげんな顔でこっちを見る


「いや、ティエリって何歳なんだろって思って」


 「18歳です。私の大人の憂いを帯びた容姿を見てもっと歳上だと想像していましたか?」


 大人の憂いを帯びた容姿???足から頭まで起伏のない女の子しか見当たらない。


 というよりティエリって2歳も歳上なんだ、思わず笑ってしまいそうになり、口を抑える。


 「リュウシン…貴方も私を子供扱いするんですか…」


ティエリは怒りに体をプルプル震わせて杖を振りかぶる。


 ちょっ、ちょっと待って!ティエリは無常にも杖を僕の頭上に振り下ろす—




 「ごめん許してよ〜」


僕は痛む頭をさすりながら、前を黙々と歩くティエリに謝罪する。


 そんなこんなで歩きながら、レベルアップした『ガラクタ収集』のスキル表示を確認する。


 『ガラクタ収集Lv2』

探知したアイテム名を知ることができる。


 今までは探知したアイテムの中から1番がある物を呼び寄せてたけど、これからはもっと欲しい物を選んで回収できるってことかな。


 『ガラクタ収集』!


 お、ほんとだ。周囲の回収できるアイテム名が一覧できる。


 【・魔物の骨 ・魔物の骨 ・松明 ・木炭 ・群族ガーゴイルの頭骨 ・堅山石の石碑 ・ 石ころ  etc…】


この中から名前で絞り込めるだけでもだいぶ便利になった。


 堅山石の石碑ってなんだろ…


「ねぇティエリ!堅山石ってなに?」


「堅山石はセレスティン王国の北部の山で採れる石で非常に硬く、石碑などに使われていたはずです」


やっぱりすごい物知りだな…


堅山石の石碑があると思われる方角に意識を集中させる。


 すると通路の右斜め前から地響きがする…


  ドドドドドドド—ドゴーーーン


 通路の右斜め前から壁を打ち破って3メートル程の巨大な石碑が一直線に向かってくる。


 これってもしかして、僕がスキルで呼び寄せてしまったのか!


  経験からしてこのスキルは僕がアイテムに触れるまで止まらないような…


 2人は後ろに全力で走る


 「リュウシン!今すぐスキルをキャンセルしてください!」


 ええ、どうやって?やり方が分からないけどとりあえず止まれ—!


 頭の中で強く意識をすると石碑は動きを止めた


 このスキル、とんでもないスキルだ…気をつけないと。


 それにしてもスキル『ガラクタ収集』の発動するアイテムとしないアイテムの違いって何なんだろう。


 ガルルルル—


  そんなことを考えていると後ろから唸り声が聞こえる。


 「どうやらモンスターに見つかったようですね」


今まで無駄な魔力、体力の消耗を避けるためにモンスターの気配を察知したら岩陰に隠れてやり過ごしていた。

 しかしこの物音で引きつけてしまったようだ。


 後ろの方向から現れたのは、鎧を身につけた虎のように見える。


 「あれはアーマードタイガーです。鎧を身につけているため攻撃が通り辛く、俊敏で厄介なモンスターです。」


  ティエリは杖を構え戦闘態勢に移行する。僕も慌ててスケルトンサーベルを構える。

 

 賢者の腕サージュボーンは魔力の消費量が大きい、これに頼りっぱなしじゃダメだ。


 ティエリはこっちに向かって唱える


 『火焔付着』エンチャントファイア


 スケルトンサーベルを炎が纏い、刀身が紅くなる。


 「やはりその剣には属性付与することができたようですね」


「私が動きを止めます、リュウシンはその隙に鎧の関節部分を狙って攻撃してください」


 「分かった…」


手汗が流れるのがわかった。モンスターとの近接戦闘は初めて…それに相手はただの森に住むような獣じゃない。


 モンスターとの間合いが縮まっていく—



第4話 完




この作品がいいな!って思ったらぜひフォロー、星、コメントお願いします!いただけたらとても励みになります!

 

 この後休憩と料理回を挟んでからさらに進めていこうかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る