第3話 初戦闘と新たな武器

 崩朽迷宮ホウキュウダンジョン第??層


 モンスターハウスからの脱出を遂げた2人は、ティエリとはぐれたもう1人の仲間と合流すべく迷宮ダンジョンの通路を歩く


 「迷宮ダンジョンには5層ごとに地上へと帰還ができる古代装置オーパーツがあります。」

「だからもしはぐれてしまい、すぐの合流が困難になった場合には最も近い古代装置オーパーツへと向かうという決まり事を決めていました」


 「それに古代装置オーパーツの配置されている階層は他の階層と違い、上下に行き来する階段が1つに限られているため、行き違いになることを防ぐことができます」


 ふーん、古代装置オーパーツなんて便利なものがあるんだ。まあ往復するのもしんどいしね。

 迷宮ダンジョン作った人も親切心があるのかな?


 「ところでティエリは最後にどこの階層にいたの?」

 

「私は19層にいました。だから20層に向かえば合流できるはずです。」


 「え、そんな深くまで潜ってたの!?」


迷宮ダンジョンの攻略をしようとする前線の冒険者や国の探査隊でも20層で止まってるはず。


「はい、私は一応"金剛ダイアモンド"級の冒険者ですので」

 特に大したことのないように、首からチェーンに繋がれた輝く証を見せる


 そんなすごい冒険者だったのか、冒険者には上から順に


   蒼輝鉱ミスリル

   金剛ダイアモンド

   白銀シルバー

   カッパー

   黒鉄アイアン

   青銅ブロンズ


 と位が与えられている。金剛ダイアモンド級は大都市セラーナにも滅多にいないはず。


「とはいっても2人でここまで来るのはさすがに無茶でした。おかげで奇襲を受けてこんな状況に」

「ですが奇襲を仕掛けてきたあのモンスター、ギルドの迷宮ダンジョンモンスター報告にもない異様な生物でした」


  異様な生物?モンスターなんて大体異様じゃないのかな?まだ見たことがないけど。


 2人の会話は突然打ち切られる


 ゾアッ———鋭い殺気に2人は鳥肌を立てる


 「前から来ます。リュウシンはまだモンスターを見たことがありませんでしたね。」


 カツンッカツンッ


 通路の奥から剣を持ったスケルトンが現れる、目の場所に赫い火が灯っている。


 「こういうのは先手必勝です」


炸裂炎弾ファイアブラスト


 ティエリが持つ杖から灼熱の炎がスケルトンに放たれ、命中すると爆炎が上がる。


 熱い…さすがに倒したのかな?


 そんなことを考えていた瞬間、炎の揺らめきの中を抜けて猛スピードでスケルトンがティエリに向かってくる。


 まずい— ティエリは防御に間に合わなそうだ


 『賢者の腕』サージュボーン


 グオオオオオオン


 僕はスケルトンに向けて腕を振り下ろす。

 すると目に見えない力がスケルトンに命中し、そのまま通路の先の壁をえぐりながら激突し、土煙を上げる。


 土煙が収まるとスケルトンはバラバラになり、動かなくなっていた。


 「ありがとうございます、助かりました」


「ふぅ〜間に合って良かった〜」


「しかし私の『炸裂炎弾ファイアブラスト』に直撃してダメージもないなんて…それもただのスケルトンにです」


 おかしいです、モブの強さが段違いになっている…階層が上がるにつれてモブも強くなっていく傾向にありますが…

 ティエリは1つの仮説を立てる


「もしかすると転送トラップの階層とモンスターハウスの階層は違う場所にあるのかも知れません」


 迷宮ダンジョンにおいてモブ的存在のスケルトンの異常な強さと、この言葉が意味することは、現在20以上の可能性があるということだ。


 もし仮に21層以上に飛ばされていたら…精鋭の冒険者や国探査隊でもたどり着けていない場所を生き延びることはできるのか


 「た、多分大丈夫だよ!僕の『賢者の腕』サージュボーンがあるし!」


「あまりそれに頼るべきではありません」

 ティエリは僕にそう言う


 「なんで?すごい威力なのに?」


「だからこそです。あのような攻撃スキルに使われる魔力量は尋常ではないはずです」

「あなたはスキルをついさっき身につけたばかりでしたよね、スキルを使うときの感覚を思い出しつつ自分の体を見てください」


  スキルを使うときの感覚—


 ティエリの言葉を反芻はんすうしながら自分の体を見てみる。


 「わっ!なにこれ!」


  目の前にゲージと文字が書かれたパネルが現れる。


「その見えるゲージが魔力量です、他にもスキルの説明などが見えるはずです。ゲージはどれくらい残っていますか?」


「うーん半分くらいかな?」


 「すごいですね、あの威力のスキルを2度発動してまだ魔力量が半分も残っているなんて、貴方には魔法の才能があると思います」


「とはいえ使えて後2回、『『賢者の腕』サージュボーン』の力はできるだけ温存するべきですね。他に何か攻撃手段があればいいのですが…」


  一つだけ無いよりはましな心当たりがある


 『ガラクタ収集』!

 

  先程の戦闘でスケルトンが激突した壁の方角から飛んできた剣をキャッチする


 「その剣、賢者の腕サージュボーンの力を食らっても刃こぼれ1つのないですね」

 「迷宮ダンジョンでは倒したモンスターから稀に装備品などを得ることはできますが、その中でもレアドロップの武器に見えます」


 「ちなみに剣術を習ったことはあるのですか?」


「うーん、ないかな…まあスラム街では護身用にナタ使ってたから大丈夫、かな?」


 「とりあえず階層にある階段へ向かいましょう。階段がある場所には今いる階層を記した石碑があります」

「現在地点を知ることが第一目標です」


「そうだね、行こう!」




 戦闘を終え、新しい武器を手に入れたリュウシンとティエリはさらに歩みを進める。




 第3話完


 


 この作品がいいな!って思ったらぜひフォロー、星、コメントお願いします!いただけたらとても励みになります!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る