第4話 締める夕刻
魔王の座についてしばらく経つ。生まれた時から世界の均衡が崩れてしまうほどの『最強』。ずっと、ずっと、我と戦える相手などいない。ただ、…『最強』それ故の『孤独』。
「人の子がこんな城の手前まで来るなんていつぶりかな…?」
◆
うお!不思議な感覚だな。ワープってやつは。そして、目の前に見えるのは巨大で禍々しい魔王城。さすがに魔界と言うだけあって魔物や魔人がうようよいるな…。
この城の中に入れば、始まるのは四天王達との四連戦、そして、魔王戦。
本来、ストーリー通りにやれば、イベントで四箇所を回って、四天王達は個々に撃破していくが、倒してないので、四連戦だ。
「まともに戦う気はないけどな。」
スキル良し、アイテム良し。
「スキル『復讐心』」
ステータスを倍化させる。現在は10倍だ。
◇
【あ】
Lv.5
HP:200
STR(A):100×10
VIT(A):100×10
DEX(B):75×10+5
MAG(C):50×10
LUC(S):125×10
所持スキル:【幼なじみの愛(A)】、
【復讐心(A)】、【聖女の加護(S)】
発動中:【復讐心】
装備:【ナイフ(E)】、【母の指輪(E)】
持ち物:煙玉×1
◇
「魔界だと倍率上がるんだよねぇ。準備万端!さあ、行くぞ!」
大きく重い扉を開く。待ち構えていたのは一人の男。黒い鎧を身にまとい、俺の姿を見るや魔剣を構えてくる。魔剣から黒い炎が吹き出す。
「人間が来るなんて珍しいな…。」
「早く!
「フッ、いいねぇ!そうゆうの!!好き!」
こんなやり取りをしたものの煙玉を相手に投げ、次の部屋へと向かう。
◆
次の四天王の部屋に行ってしまえば、前のやつは着いてこないはず…。
「って、なんか近づいて来てるな!?なんでだ!?」
「どうしたんだい?坊や?」
と言って、正面の巨乳のお姉さんが魔法をボコスカ撃ってくる。だけど、やることは変わらない。ただ前に進む。行く先々で魔法が飛んできて俺の身体を貫いていく。
―――スキル【幼なじみの愛】
HPを必ず、1残す。このまま次の部屋に入る。
◆
身体中から血と汗が吹き出す。頑張れ頑張れ、ゴールはあと少しだ!
入った先に見えるのは、獣人といった風貌をしたロリっ子。
「うわーー!!ホントに人が来た!!」
「よーし、ロリっ子、綺麗な指輪だ!取ってこい!」
「わーい!!!」
よしっ。次!!!
◆
四天王の部屋ラストだ。俺が部屋に入るなり、暗かった部屋の中央がライトアップされる。
そして、壮大な音楽が鳴り響くと共に、白髪で深紅の瞳が光る正装の男性。
「ハロー、勇者様。っんー、わったくしが!!こーの、ラストを務める高貴な吸血鬼!◼️◼️どぅえーーーーす!!!―――あれ?」
こいつは一番楽だ。なっがい自己紹介の間に次の部屋に進めばいいだけだからな。
◆
魔王の間。
入った瞬間に感じる。威圧感、雰囲気の重苦しさ。魔王は玉座に座り、俺を見下ろしている。
「…よくぞ。一人で辿り着いた。見たところあまり強さは感じられないが、いいだろう。相手をしてやる。」
なんて言った?聞いてなかった。ただ、俺はあいつの元へと走るだけだ。ナイフを強く握りしめる。時間でいえばまだ夕方になりきっていないくらい。いけるはずだ…。自己記録の更新が!
「まぁ、一度攻撃は受けてやる。」
こいつは初ターンのみ何も行動しない。
「スキル【聖女の加護】」
ナイフの刀身が光輝く。そして、黒い稲妻がこの空間を走る。【聖女の加護】の効果は一度(数秒程度)、肉体的、魔法的にもあらゆる干渉を無視して攻撃を与える。
―――パキンッ
魔王の自動魔力障壁の破壊。
―――スッ
そして、魔王の高い耐久力を誇る肉体的にも刃を通す。
―――――――――
――――――
―――
ついに、俺の中のタイマーが止まる魔王の心臓の破壊。
「―――!、これは驚いた。完全に油断していた。さすがだな。我の完敗だ!!ワッハッハッハッ!こんな最後も、これはこれで悪くないな…!」
きたきたきたーー!これは自己記録更新だろ!しゃっしゃっ、うっしゃーーー!!んー神!神すぎる!
「我が負けるなど生まれて初めてだ。最後に名を教えてくれないか?」
「よっしゃー、せい!せい!せい!うぇーい!!フッフゥーー!!」
「『よっしゃー、せい!せい!せい!うぇーい!!フッフゥーー!!』か…。良い名だな……。」
遥か格上を倒した影響によって、大量の経験値が流れこんでくる。
レベルカンスト。
これまでに感じたことの無い満足感、高揚感。自己記録を更新したこととこの身に流れる力…。ただただ、最高だ!!
魔王の身体は灰となって空中へと消えていく…。
しばらくすれば、俺が入ってきた背後の扉が開かれる。
入ってきたのは先程相対した四天王達。
「「「「魔王様!!!」」」」
四天王全員が俺を睨みつけてくる。さっきまでとは違い、全然恐怖も感じない。
「さぁ、クリア後アフタープレイだ。」
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ここまで読んでいただきありがとうございました。個人的にもすごくテンポが速かったと思います。
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