転生ニートの魔王討伐RTA

コウ

第1話 始まりの朝

 俺はコントローラーを握り、PCの前でRPGのRTAを行っている。


「ん、ミスった…。よし、もういっちょ!」


 といったところで、どういうことだろうか意識が暗転していく。


 ◆


 気付けば、鏡の前だ。知らないようで、知っているような部屋。鏡に映るのは、ゲームの主人公もとい自分自身。


 俺は状況を一瞬で理解した。


 そうか……


「”ゾーン”か……!」


 コントローラーを持っているはずの手にコントローラーはない。これはつまり、それを感じないほどにのめり込んでいるということ。

 身体も自分の身体のように動く。行ける気がする。自己記録の更新が…!


 俺は部屋を飛び出す。世界が俺を待っている。だが、冷静になれ、ハイになるな。最適の選択をするんだ。

 まずは壺を割ろう。初期セットの資金だ。


「っしゃー!英雄の登場だぞォー!」


 扉を開け、部屋から出て、1階へと飛び降りる。今の俺はゾーンに入っている。わざわざ階段を使う必要はないと心が言っている。


「あら、おはよう、”あ”。朝から元気ね。」


 俺は壺を割る。上振れろ、上振れろ、上振れろ!5ドル、10ドル、5ドル。おけおけ、十分十分。


「ちょっと何やってるの!いきなりツボなんか割って…!」


 次に台所から「ナイフ」を入手する。攻撃力は低いがRTAの武器といえばこれだ。この家でできることは、残り、母親から指輪を貰うことだ。


 俺はナイフ片手に母親に元に距離を詰める。


「え、え、やめてっ!やめなさいっ!」


 いつもは話しかけて、ボタンを連打しまくって指輪を入手するが、効率が大事だ。俺は母親の薬指をナイフで切り落とそうとする。左手で母親の手首を抑え、右手のナイフで刃を突き立てる。


 ザクッ、ザクッ


「ッ!い、いた…!痛い痛い痛いっ!うっ」


「くっ、ダメか。このナイフじゃ切り落とせない…」


 ここはタイムロスになってしまうが仕方ない。普通に取るか…。


「ちょっ、いい加減にっ!返しなさい!」


【母の指輪】を入手。


【母の指輪】:敏捷小アップ

 主人公の母親の薬指につけられていた指輪。今は亡き夫からの贈り物らしい。


「よーしよしよし。次は幼なじみの家だ。記録更新目指して頑張るぞ…!」


「ま、待ちなさい……!」


 母親は膝をつき倒れ込んでしまう。家から出ていく息子の姿はこれまでとは比べ物にならないほどに別人に見えただろう。


 ◆


 次に目指すのは幼なじみの家。幼なじみは俺に惚れている。幼なじみに告白してヤることでスキルを入手できる。必須スキルなので必ず入手する。


「少しイレギュラーもあったがいい感じだぞ。ナイフじゃ一撃で指は切り落とせないんだな。」


 幼なじみの家を視界に捉える。いつもは玄関から入っているが、今回の俺は一味違い”ゾーン”に入っている。


 俺は窓からダイレクトに突入する。


 パリーンとガラスが飛び散る。寛いでいただろう幼なじみの母親は驚いたような顔を向けてくる。


「えっ……!?”あ”くん…!?」


 メインの目的は幼なじみだがこの家でもすることがある。壺を割ることだ。


 俺は壺を割る。上振れろ、上振れろ、上振れろ!5ドル、5ドル、0ドル。少し下ぶれたけど全然足りるはず。現在、30ドル。


 次は二階の幼なじみに会いに行く。


「ちょっと待ちなさっ…い…。」


 クリティカル。


 ナイフで首を切り落とす。


「ここで絡まれて時間を無駄にする訳にはいかない。」


 探索中に近づいてくるなんて初めてだな~。それに、クリティカルならば一撃で切り落とすことができる…!いける!


 さてさて、可愛い幼なじみの部屋に突入!


「え!”あ”くん!?一体、どうしt」


「アイシテル、ツキアオウ。(早口)」


「え、そんないきなり///。でも私も、すk」


 俺は幼なじみを押し倒し、服をビリビリに破き犯す。


「え♡、そんないきなりがっつきすぎ…。」


「いれるいれる。」


 相手のアソコは全く濡れていない状況だが、気にせずに挿入する。俺にとってははやくスキルを入手することの方が大事だ。


 俺には自己記録更新がかかっているのだから。


「え、え、え、もう…?嘘…、ちょ、やめてやめてやめてっ。痛い痛い痛い痛い、抜いてやめて痛い。血、血出てるって、お、おがぁざん!!助けて…ヴヴヴ」


 と、徐々に痛くて声が出ないのか声のボリュームが下がっていく。


 俺に自身女性とやるのは初めてだが、こうやって合法的にヤれるのはいいことだよな。


 俺が中に出すタイミングでスキルを入手する。


 スキル【幼なじみの愛】を入手。


【幼なじみの愛】:瀕死の攻撃を食らっても一度、HPが1残る。

 幼なじみと恋仲になり、ある行為をすることで顕現したスキル。


「よしっ。」


「う、うぅ、なんで…」


 二階の部屋の窓から外に向かって飛び出す。やはり、”ゾーン”に入っている今の俺はすごいな。ショートカットしまくれる。


「よーし!次は王都に向かって出発、出発!」


 村を出る前にやることがある。いつもは待つ必要があるが、今なら効率化できる気がするぞ…。


「『ファイア』」


 村から出る前にMPを消費して村に火を付ける。そして、村を出る。現状のMPを全て消費した最高火力の『ファイア』だ。しばらくすれば、村は燃え尽きるだろう。


 俺は王都に向かって走り出す。


 ◆


 向かっている途中、スキルを入手する。


 スキル【復讐心】を入手。


【復讐心】:ステータスを状況によって倍化する。

 何らかの要因によって生まれ育った村が消えてしまったことに対する復讐心または憎悪。


「よっしゃー!タイム短縮だ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 勘違い主人公って可愛いですよね///()

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る