第31話 防具の有用性の確認

ラックスの所を後にした私は、いつものように森に来ていた。


今日は防具の性能確認もかねて森の中に入っていくことにした。


どれくらいの衝撃に耐えれるのかも試してみたかったが、危険なので今回は諦めた。




森の中は瑞々しい木々が乱立しており、地面には木の根が張っていて歩きずらかった。


浅い場所とは全く勝手が違うことに戸惑いながらも、森に入るのは初めてではないため落ち着いて森に順応するのにしばらく時間をかけた。




森の中では、魔物の数も多く生息しており数十分に一度戦闘になった。


尤も今の私には少々物足りない魔物の方が多く、その大半が一度の魔法で倒せてしまう。


私はその全てを討伐証明部位だけしっかりとはぎ取った後に魔力に変えていた。


肝心の防具の性能なのだが、ここまで変わるのかと驚いた。




特に魔法発動の速度上昇、これが凄かった。


どう言えばいいのか、魔法の想像は変わらず自分で行うのだが、練った魔力が纏まるのが早いといったらいいのか・・・首から袖にかけて引かれたラインを通ってそのまま手に魔力が円滑に運ばれてくる感じがした。


体感的には一・三倍ほど発動速度が上がった感じだ。




魔法の威力についても同様に体感できるほど上がってはいるのだが、こちらは特に感動するほどでもないというのが本音だった。


というのも妖精の魔力で放つ魔法の威力をこの目で見てしまっているためか、物足りないというかそれほどでもないな、という贅沢な感想を抱いてしまう。


なんとも失礼なことだとは思うのだが、これについてはしょうがないことだと思った。


妖精の魔力が規格外すぎるだけなのだ。文字通り二倍も三倍も威力が変わるのだからそれに魅せられてしまっては大半の効果が物足りなく感じるのも仕方がないと言えた。




それでも、私はこの防具が凄く気に入ったといえる。


少し重量を感じるのも、自分の命を守るためだと思えば苦にはならなかった。


元々防具を装備するのなら覚悟していたというのもあるが。


総合的に見れば何の不満もわいてこない、改めてこれを作ってくれたラックスに感謝した。




そうしてしばらく、私は薬草なども途中に摘んでいきながら森の中を当てもなく進んでいく。


相変わらず作業のように見慣れた魔物を倒しながら行軍していると、私の前に初めて見る魔物が姿を現した。


体が木々に擬態するように深い緑色をしており、大きさは私よりも大きい。




「フォレストウルフ・・」




私をつけていたのか、フォレストウルフは合計四匹、私を囲むように姿を現す。


じりじりとその距離を縮め、とびかかる機会をうかがっていた。




私は冷や汗を流しながら魔法を落ち着いて構築する。


すると構築した魔法は私の想像より早く体の中を流れて発動速度を速めてくれる。


私の周りを囲むように五Mほどの範囲で月魔法の重力グラヴィティを展開する。




森に入ってから何かと重宝している魔法で、発動するのは慣れたものだった


襲い掛かる機会をうかがっていた魔物たちは、突如現れた上からの圧力に襲われ地面にひれ伏す。




辺りの木々も巻き込んで潰れる中、私の周りだけが何の影響も受けていなかった。


その魔法を強めるために魔力を籠めれば、魔物たちは何もできずにつぶされて命を落とす。


私は辺りの惨状を見て呟きを漏らす。




「はぁ、これだけがこの魔法の難点だなぁ。」




辺りには平たく圧縮された魔物の死体が散乱していた。


木々もその影響を受けており、例外なく魔法が届く範囲に乱立していた木々たちはその姿を倒木へと変化する。


私の周囲は私のいた場所を除いて地面がへこんでしまっており、他の人がこれを見つければ不可解に思うだろうことは明白だった。


死体は体液をまき散らして死亡しており、討伐証明部位である爪も下敷きになっていた。


効果も使い勝手も非常に良い魔法だが、魔物の部位をはぎ取るのには向いていなかった。


しかたなく私は剥ぎ取りを諦めて魔力だけを吸収する。




「確かフォレストウルフはEランクの魔物だったっけ?」




ギルドが定めているフォレストウルフの討伐ランクはE。


討伐ランクとはそれと同じランクの冒険者が戦闘に持ち込むことができる魔物をギルドが定めることで決まる。


つまり、一概には言えないが今の私はEランク程度の力はあるということだ。


なぜ一概に言えないかといえば、環境、相性などによる不確定なものが存在するからだ。




例えば、火魔法を得意とする魔法使いがいたとして、トレントという木に擬態した魔物は比較的簡単に倒せるかもしれないが逆に、ウォータークラブなどの水辺にすむ火の通りが悪い魔物では、倒すのに苦労するだろう。


誰にでも相性というものが存在するので、一概には言えないというわけだ。




そんなことを考えながら、私はしばらく森を探索した後、魔力の残量のことも考えて今日は帰ることにした。


防具の性能も確認できたし倒した魔物の数は今までで一番多かった。


これは報酬に期待できそうだ。


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後書き


防具強くしすぎちゃったかな?と不安になりながらの投稿です。。。

まぁでもよくあるぶっ壊れ装備と比べたら可愛いもんでしょ!


デザインだけは絶対にシンプルにすると決めてました!

なぜかって?私の語彙では伝えきれなくなるからですよ!!


語彙力が欲しい。。。


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