第18話 災害の魔法の再現
そういって、私は冒険者の説明を受ける。
「冒険者はランクと呼ばれるものがあり、それによって受けられる依頼に違いがあります。例えば・・・」
そういってレイナは冒険者の説明をしていく。
冒険者はみな、S~Gまでのランクに分かれていてそのランクによって受けられる依頼に差が生まれる。
最初は皆Gランクから始まり、受けられる依頼はGとFの依頼だけだ。
ランクを上げるには依頼をこなしていくか、何かギルドに貢献することで上げることができ、Sランクにもなれば一代限りの貴族である名誉男爵にもなることができ、家名を名乗ることを許可される。
そういったことを説明され、最後に注意事項を告げられる。
「依頼はさっきも言った通り自分のランクより一つ上のものまで受けることができますが、失敗しますと違約金が発生しますので注意してください。」
そう言ってレイナは暗に身の上に会う依頼を受けろと言って締めくくった。
とりあえず私は、今受けられる依頼は何か聞いてみる。
「そうですね、常設の依頼ですとゴブリンの討伐、薬草の採取などがありますね。ちなみにゴブリンを討伐した場合には、討伐証明部位として右耳をギルドに収めることで依頼達成になります。」
ゴブリンならよほど無理しない限り安定して狩ることができるだろう。
そんなことを思っていると、レイナから羊皮紙を渡され記入するように言われる。
「最後にこの羊皮紙にあなた様のことをご記入ください、代筆は必要ですか?」
冒険者になるのは、複雑な環境で育った人が多い。
そんな人の中には、文字を碌にかけない人も多いため幼い私を見て、何か訳ありだろうと代筆を進めてくれたのだろうが、本を読むために一番に習ったことなので私は断ってから書き進める。
全て記入が終わり、書き終わった羊皮紙をレイナに手渡すと、それに目を通した彼女はわずかに目を見張る。
「その歳で魔法が使えるのですね!魔法使いは貴重ですから、すぐにパーティーが組めますよ!」
「今のところパーティーは組む予定はないので、大丈夫です。」
「そうでしたか、ぜひ気が変わった際にはお申し付けください。すぐに手配いたしますので。」
冒険者とは、基本パーティーを組んで行動する。
何しろ危険の多い職業だ、少しでも生存率を上げるためにパーティーを組んで役割を分担するのだ。
私は魔力を集めるという使命のために余計な面倒を避けるためにソロで行こうと決めていた。
人と関わることに若干のトラウマができていることも理由の一つなのだが。
そんなことを考えていると最後にレイナが長方形の固い紙を取り出して見せてくる。
「これがギルドカードになります、ラルーナ様の情報が登録されてありますので、失くさないように注意してくださいませ。」
そこには私の名前とギルドランクが記されてあった。
ずっと話していたのにいつの間に登録したのかさっぱり不明であったが、深く考えるのはやめた。
今はそれよりお金を稼ぐのを最優先にしなければ、宿をとることもできないのだ。
「ありがとうございます。」
「はい、ではくれぐれも命を最優先に、お気をつけて。」
それを最後に私は冒険者ギルドを後にして城門を目指す。
昨日とは違う門番にギルドカードを見せて驚かれながら、町を出る。
今更だが、この町の名前はシャウランというらしい、ミランダが今朝言っていたのを聞いて初めて知った。
城門を出た私は、すでに日が頂点にあるのを確認して急がなければと思い少し離れたところにある森に急ぐ。
森に到着した私は、まず薬草を探そうと思うも浅いところは皆に刈り取られているのか一つも見つけられなかった。
時刻はすでに十二時を回って二時間ほど。
ここに来るまでに三十分ほどかかったことを思い出し、今日は森の奥には入らず浅いところでゴブリンを探すことに決めた。
森の側面に沿って歩きながら森の中をよく観察する。
十分ほど捜索していると、森の少し奥に三匹固まり歩いているゴブリンを発見する。
初めてゴブリンを狩った日から、魔法の練習のついでに山を出てきたゴブリンを何体も狩っていたためもうそれほど恐怖は覚えない。
落ち着いて深呼吸した私は、まだこちらに気づいてないゴブリンに先手を打つため、よく狙いをつけて一体のゴブリンに照準を合わせる。
「石の
勢いよく射出された石の礫は、こちらに背を向けるゴブリンの一体の頭に吸い込まれるように飛んでいき、当たった瞬間に頭が弾けた。
「ギャギャ!?」
急に隣にいる仲間の頭が爆散したことで動揺してその場でたたらを踏んでいる残りの二匹に、もう一度私は同じ魔法を放つ。
そうして一匹目と同じ結末を辿ったところで、最後の一匹がこちらにようやく気付く。
「ギャギャギャ!!」
興奮した様子でこちらに走ってくるゴブリンを見ながら、私は落ち着くように一つ深呼吸をするとあらかじめ用意しておいた最後の魔法をゴブリンに向けて放った。
「
トラウマにもなっているその魔法を無事発動できたことに安堵する。
いまだ脳裏にこびりついているその魔法は再現するの自体は簡単だった。
だがそれを撃とうとすると、どうしてもあの時の光景が頭に浮かび体が硬直した。
村で練習している間は何とか放つことができたが実戦で使うのは初めてだった。
だからこれは決別だ。
あの日の弱い自分に別れを告げて修羅の道を進むことへの決意。
放った雷槍はゴブリンの体に当たったその瞬間から、まるで障害などないといわんばかりに突き破り、なおも勢い落とさぬまま森の木々を薙ぎ払って十Mくらい進んだところで、その姿を静電気に変え破裂音を鳴らしながら消えていった。
ゴブリンが文字通り消し炭になってしまい、木々がなぎ倒されているその光景はどう見たって過剰であった。
「やっぱり威力が高すぎるなー。」
魔法を創造するには実物を見るのが一番早いといわれるが、初めて見た魔法があれだったのでどうしたってそれより弱い雷系統の魔法は作れなかった。
頭に浮かぶのは災害。
あのどうしようもないほど荒々しい魔法を見てしまった私は恐怖とともに魅せられてしまったのだ。
討伐証明部位どころか、体もろくに残ってないゴブリンを見下ろしながら、
「これもしばらく封印だな。」
また、使えない魔法が増えていくのだった。
私はぎりぎり残った二匹のゴブリンの耳を回収したあと収納魔法の中に収め、帰路についた。
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後書き
最近またウォーキングデッドを止めてたところから見始めたんですけどやっぱり見始めると面白いですねー
小説書きながらとかに流しているんですけど気づけば画面に見入って全然執筆が進まなくなるので困ってます。笑
今は酒飲みながらウォーキングデッド見てるのが一番の幸せです。笑
もしこの話が面白い!続きが気になると少しでも思っていただけましたらフォローと★での評価よろしくお願いします!、私のモチベーションに繋がります!
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