第13話

 島を監視出来るマルチディスプレイ。


 単に、昆虫の絶対量の増減を監視するための物のはずだった。

 目まぐるし画面を切り替えている。


 動作センサーが絶えず反応して、カメラがそちらを向くが、追いつかない。


「いた。見つけた」


 ナノマシンの暗視モードの映像だが、東洋人らしい。

 やはり、C国か?


 高い草丈と葉が生い茂った枝に、その姿が時々隠れる。


「銃だな。あれからどこの国か分からないか?」


 宮ノ森が、野中に訊ねた。


「さすがに、それは無理かと。何処の組織か分かるものは身に付けていないと思った方がよいと思います。が、多分C国の予想が、当たりでしょう」 


 野中は、元自衛隊の特別部隊に所属していた。

しかも統合幕僚長直轄だ。

 他人には言えない仕事もしてきたらしい。

 しかし、今は一般人だ。


「博士、ここに身を守る武器は、ありませんか?昆虫がここを襲わなくても、彼らは、この施設の入り口を間違いなく破壊します」


「無い、ここには武器を置いていない」


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