第12話

 建屋を壊される心配は、なかった。

 本社との連絡は、可能だった。


 佐々木が、連絡をとる。


「それは、問題だね。温暖化問題に、片が付くと思ったが、時間がかかりそうだな」


 重工の社長はそう言って、制服姿の人物を紹介した。

 画面の向こうには、自衛隊員が数名いた。

 

 翌朝、明るくなってから、武器携行の特別部隊が数名来てくれる事になった。

 対応が、早過ぎると思ったが、別件があった。


「宮ノ森くん。どこの組織か確認出来ていないが、そちらの島へ向かった者がいるらしい。人数も把握出来ていない。君の研究が何処かから漏れたようだ。今からすぐに救援を送ってもそちらには、夜中になる」


 自衛隊のお偉い方が、言った。

 宮ノ森は、普通に対応していた。

 重工と自衛隊は結び付きが強い。

 宮ノ森と知り合いであっても、不思議はない。


「本田さん、危険です。夜行性の昆虫は、危険です。明るくなってからのほうが良い。その何処かの組織の彼らにも止めるように、連絡出来ませんか?全員、殺されてしまいますよ」


「無理だな。C国との国交は表面的なものだ。彼らの都合でしか動かない。美咲、冷静に行動しろ。今回は本当に命がかかっている。野中くん、足手まといかもしれんが娘を頼む」


 本田幕僚長、

 美咲の父親だ。


 父親が娘を心配している。


 夕日が沈む。

 恐ろしい夜が始まった。

 

 

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