第8話

 先頭を歩く高橋は、楽しそうだ。

 島に来てしばらくは、二人で竿を出していたらしいが、釣果が、全く違うので最近は、山下だけになったらしい。


 小柄な山下は、性格の良さで、みんなに愛されていたが、釣りに関してだけは、厳しかった。

 散々、自慢され続けてきた山下の苦戦を見ることが、楽しみらしい。


 隣を歩く中山に嬉しそうに話しかけている。


「なあに、釣りなんて運だよ。今日は駄目でも明日、釣ってくれれば、みんな喜ぶさ。とでも言っておきますよ」


 中山は、複雑そうだ。


「彼の釣って来る魚があれば、テーブルが賑やかになるのだけどね」


 野中と、美咲たちは、後ろでその話を聞いている。

 それから僅か、数分歩いて、先頭の二人は立ち止まった。


「あれは、まさか」


「山下っ!」


 高橋が、駆け出した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る