せめて最後は昼ドラのように

視界が白く輝く大地と黒く潰れたソラとで激しく入れ替わる。


敵のハイン他識別不明の新型やこちらのゾカが恐ろしい勢いで爆発、爆散しあっというまに燃え尽きてゆく。


「薄い表層でコレか・・・地獄かよ」


リーゼの装甲は圧縮大気如きでうんぬん、とはなんだったのか・・・

ルフィの哄笑が耳に刺さる。


「ハハハ!見つけたぜナミエェ!ハンビオン・ツァイ、ガキだ!ジュリアン!来いッ!」


ナミエなんていねーよ!

敵も味方も弾けるホウセンカの如く嵐のように散ってゆく。

こんな死の暴風に包まれてるっつーのになんでこんな嬉しそうなんかね・・・あ~~~~嫌だ嫌だ。


「うぃ~~~~っす、連携Cで裏打ち入るぞ」


ツァイはなんか三角のタコに乗ってる・・・て、ああ・・・降下中にアレでプチプチ潰されるんだよな味方・・・まぁ、俺はどーせ平気だろうしどうでもいいか。


つーかハンビオンだとマークIVでツァイはレグナだろ?


などと愚痴りながらルフィと交互にツァイへアタックを掛けてゆく。

やっぱこう、大気圧のせいか流れがはげしい流れるプール()で戦ってるようでディレイが思うようにかからず中途半端なアタックが続く。


うーん・・・この追い詰めてそうで追いきれない感じ・・・前世の原チャレースで引っ張られてるだけの時に似てんな・・・コケるまでは自分のが速い、ブロックされてるだけだって信じ込んじゃうんだよな~~~いかん遺憾、俺しかわからん比喩は止めておこう。


気付けば辺りはV型装備の電磁真空体に包まれ経戦能力をロックされた機体ばかりだ。



・・・?


・・・・・ああ、ああ!わかった!!


知らせるまでもない、ルフィ・・・こいつツァイ撃墜できなきゃ初めから死ぬ気だったんだわ!

経戦能力維持したままの敵残したら自分含めた味方の数を盾にするしかないじゃん。


誰かが引かなきゃならないババを、生き残ってきた自分が引く。


俺のようにデコイに出来るV型装備展開中の群発域をマークしつつ、展開直前に重力機動で跳ぶ逃げ道を計算させつづけてる雇われ根性の人間とは明らかに違う。


負け戦にこそ死に場(所)最大の戦果を見つける歴戦の勇士。



このキットに歴戦の勇士は付いていません!


うーん、転生後にもわかり味が止まらないガムダルシリーズ。


チッ、指輪のハコパカパカしながら漢キメてんじゃねーぞ・・・




ルフィの機体のツッコミに横に流れるタコ+ツァイ。

揺り戻しの慣性が効いてる今!


フルスロで抜刀しながら突っ込む。


気付けば叫んでいた。


斬った!、が浅い。

今度は俺がロールだが・・・


「そこをルフィが・・・おわっ!」


突如機体が激しい制動を受け、ツァイに急速接近。


「ジュリアン!おまえ切ってなかったのか!」


「あああああああうそぉおおおおおお!!!!!!!!!V型装備ぃいいい!!!!!」


オートマチックは切っとけよwwwじゃねーよ俺!!!!!


大気の巨大な制動を受け、俺の視界は急接近するツァイのタコでなんも見えなくなる。

強烈な衝撃。


反射的に閉じていた目を開くと、ツァイのタコだったものがバラバラに分解し燃え尽きてゆく。



『なっ、おまえ!こんなところで・・・エンリカ・・・さ・・・ん』



あっ、主人公乙るわ。


やったぜ。ごめんエンリカ・・・


『クソッ、おまえも連れて行ってやる!』


え?それ最終話のお前の敵のセリフなんだけど・・・


ツァイがルフィのゾカと組み合うも、なんか関節技みたいのであっさりと腕を破壊され落ちてゆく。



「これで、無駄死にじゃねえな。・・・ジュリアン、ハマミによろしくな」


「なっ、ルフィ!おまえ、V型装備は?!」


「そんなモン初めから積んじゃいねえぜ。じゃあな」


ええええ・・・・・まぁ、いいかw


「ふ、まぁ、あとは全部まかせろ」


アメリアとか。アメリアのキョニュウとか。


とりあえず燃え尽きムービーは保存しとくか、と休憩気分でエアコムも弄り出すと、ウサギっぽいリーゼがルフィの機体の背後に組み付き、ひっくり返した。


「は?ハマミか??」


「やめろ!なんのつもりだハマミ!」


「え、ダイジョブ気にしないで」


圧縮され眩く輝く大気がハマミの機にベッタリとりつき厚さを増してゆく。


お熱いな・・・ひょっとしてハマミ退場確定のイチャコラシーンか?

回収後、ハッチは開けないで・・・おねがい・・・なんつってwww


ハマミ機がV型装備を展開するも、二機の荷重はカバーできず、絶縁シールドは激しく大気圧を受けるハマミ機側が極端に変形し薄くなる。


「おい、冷静になれ。今の宇宙にとってお前はかけがえのない・・・」


「宇宙だの平和だのあたしだの、どうでもいいの」


「いいわけないだろ!若さ、背負うモノ、俺なんかよりおまえの」


「うるさいなあ、あたしが大事と思うモノが今!宇宙で一番大事なの!・・・それに」


なんか同じ速度で下降しているせいか、音を拾える。


「あたし、このカラダじゃアナタの子を産めないから・・・」


「なんのハナシを・・・」


「だから、いいの」


涙声。

この昼ドラ感・・・熱いぜ。

俺は黙ってハマミ劇場を見守ることにするぜ・・・熱い!


「ありがとう最愛の人。わたしのこと、忘れないでね」


イェスマイスウィイイイイ~♪


「ハマミ!」


「最後にひとつ教えて・・・」


「なんだ!?それより・・・」



「アメリア、ってダレ?」


「っ!」


ルフィの絶句を寂しそうに笑むと、ハマミはそのまま通話を切ったのであった・・・



たぶん・・・熱い!!!


―――――ルフィ、最後にイジワル言ってゴメン・・・でも、これで忘れないでいてくれるよね・・・そう呟くとハマミはスーツのリニアリティレベルを固定し小さな両手を胸に畳み固く握りしめるのだった。熱の苦しみによってルフィを放すことがないように・・・って、やべえ自分のアテレコで泣けてきたわ・・・・うおおおおお!!!!!



そうか・・・ハマミの奴、他の女なんつー凡カードを今日まで温存してきたのはこの日の泣けるイチャコラシーンが為に・・・


え?




なんか俺のスーツ・・・燃えてね?!?




「あづああああああああ!!!!!!!!なぜ俺も落ちてるんだあああああ!!!!!!!」



そう、横で見てたから受信も実況も出来たんだよ。

気付けよ・・・


「あぢぃいいい!圧縮大気てコレ?!トリモチかっ!この光ってんのとって!とって!!!!」


装甲にべっとりと貼りつき、徐々に厚さを増して熱さもマシマシチャーシューニンニクダブル野菜小!!!!!!

そしていまはもう俺の方が遥か先に落ちてる。



そう、俺のも壊れてた。


「クッソ、重力機関のパワー全開で飛ぶしかねえ!」


そうそう、重力機関。

オリジナルにゃあ無い太陽系内を旅行感覚で飛び廻れるハイパワーすぎなエンジンがありゃそもそもこんな慣性突入を・・・ん?


スロットル開度がめたくそ絞られている。

こんじゃ出力が・・・


「なぜ、なぜ上がらない!」


『Since the zero point has been exceeded, no further increase in output is allowed due to gravitational interference with the planet.』


は?なにこの英語・・・え?ベッドでアニーが言ってた魔法語て・・・


「しんす、ざ、ぜろ、ぽいにょ・・・あああああづぁあああ!!!!!!読めねえよ!!!!!!!!!」


正直煮えた。


「回収してもハッチはぐわああああああ!!!!!ぢぃいいいいいぁあああああああ!!!!!!!」






@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


英文はグーグル翻訳でコピペしたんですけど翻訳した文章を忘れてしまいましたwww

大気圏突入演出のための近隣にある質量と重力の比で出力が制限される云々の雑なうんちくを考えてたのでそんな内容だと思います()


20240611

ルフィの退場準備セリフを〇ーマ様とか出てくるやつの()からパクったものに変更

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る