それがなにか
くるりとスカートを回転させ・・・ん?カサみたいに回ったな・・・骨入りか。
テラスへ進み、フェンスの柱へもたれようとしてスカートを潰し掛け・・・あきらめた様に離れる。
「連邦も名の通り一枚岩では・・・ってわかりますかね、月や木星他閥や小国に分かれておりますでしょう?特に火星から先の外惑星の系とは資源と技術供与、開発の取引で恒常的に揉めておりますし・・・ですから、いずれ袂を分かち争うこととなれば、私共が尖兵を務めると・・・おわかりになります?」
眇められ吊り上がる目尻に引かれるよう、ハマミの口元がニマァ~~~って感じに笑み開いてゆく。
ハロウィンのかぼちゃみたいだな。
しかし三次元でここまで詳細にパパラッチされちまうとは・・・つーかスカートの中は規制入ってんじゃねーかなんだこれ・・・宇宙世紀とんでもないわマジで。
「わたくし達には死すらいとわず戦う強兵がある。いいように使わせてやるから、命と身分と財産を保証し停戦に応じよ。でなければ最後の一兵、女子供の最後の一人に至るまで抵抗するぞ、と・・・ウフ、命拾いいたしましたわね、あなた」
ハマミ・・・キレちまったよ・・・屋上いこうぜ・・・て感じにパイセンがフラフラと引き寄せられてゆく。
「前世紀の詩歌まで使って愛国を煽り滅私の奉公を尊び、作詞家の先生方に
パイセンがフロントチョークをキメる。
絵ヅラはどうみても逆上した少年が幼女を虐待している、というのが悪魔的に可怪しい。
「捨て石・・・ってヤツ?・・・ケヒッ、・・・あたしたちの身分や・・・財、産を守る為の捨て石に過ぎ・・・な、かったの・・・よ、あなたのお姉さま・・・メイドの息子、達・・・国民、は」
嘲笑
「褒めて遣わす」
少年のユビが震えながらハマミの白く細い首へめり込んでゆく。
少女の顔は真っ赤に充血し目は眼球が顔から飛び出すほどに見開かれ口は笑み開いたまま光る犬歯を剥きだしてゆき―――――
かくり、と少女が力を失う。
表情を失ったその顔は、どうみても無力で稚い少女にすぎなかった。
少年が自分の手を眺め、嗚咽と共にヒザをつき、終わった。
映像を消す。
暗くなった部屋で、俺はとりあえず酒を流し込んだ。
清涼飲料水がごとく、喉を鳴らしながら喰らってゆく。
なぜそんなことをする?
これは、他人に恐怖を感じたときに現れる疑問だ。
喜色満面で刃物を振り回してくるやつ。
東名や東北を弾丸のようにブッとんでいくバイク。
弱り切った個人を執拗にいたぶる集団。
つまり・・・
「楽しんでるだけなのか。あの時の俺の苦しみも、さっきのマシューパイセンも」
犬が蝶を追いかけ噛み潰すのは。
猫がゴキやネズミを弄ぶのは。
人が
そう、理由は無い。
快楽を得られる行為として、感情、脳の報酬系器官にデフォルトで設定されてる機械的な反応なのだから。
セックスと同じだ。
棒を穴に差し込んで腰を振りながらわめき合う。
知能ある行動か?
逆に知能と教養と鋼の理性が必要な行為だとしたら滅びてるわ人類www
首を絞められながらもハマミの顔に浮かんだ喜悦の表情。
思い出したくないが、90年代終盤ネットに流れてた戦場鬼畜シリーズで見た兵士の顔とそっくりだ。
子どもを殺された瞬間の母親の顔を覗き込む時の顔と。
・・・あーヤメヤメ!楽しいこと考えよ!!
酒ッ!飲まずにはいられないッ!!!!!!!!!!!!
目の前のテーブルに手を伸ばすと、転がる三本の空の角瓶が目に入った。
俺は便所へ飛び込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます