ユーリとゼッタ

「あたし、どう・・・だった?」


問われる、てのは初めてだ。


「フツーに良かったぜ?」


俺の答えにフランセットはふふん、と鼻で笑いながら汚れたシーツを掻き集める。

しぐさがなんか女子高生風()で微笑ましい。


「ユーリもフツーに良かったわ」


「ユーリ?」


めたくそ大好きだったネット小説の主人公を連想する。

同じく転生してるっつーのに俺は裸の女とナニしかやってない・・・


「ジュリアス、ジュリアーノ、ユリアン、ユリアス、ユリケンヌ・・・は違うか、ジュリアンつったらユーリでしょ?」


「はー、かっこいいなソレ。子供のころからリィルつわれてたわ俺」


つーか転生してからもう8年を越えたが正調日本語発音で西洋人()ネームてやっぱ未だなんとなく気恥ずかしいつかバカっぽいつか源氏名つかそんな感じの今一つマヌケな気分がどーしても抜けない。


いや、ちゃんと白人だしジュリ雄とかのが違和感あんだろ・・・いや、意外としっくり馴染・・・やめやめ、この件はこれ以上考えてはいけない!


「よし、じゃあ今現時点をもって俺はユーリだ。お前はキャロ・・・ラインな」


「カロリーナのが可愛いくない?ていうかダレ呼んでんのかわかんないしラシィとかゼッタにして」


ゼッタ・・・前世のロボットアニメのB級ヘモーメタルにそんなマシンがあったわ。


「じゃあ今日から俺らはユーリとゼッタな」


「オーケーハニー」


・・・ゼッタてかわいいのか?コイツわからんわ・・・


でもタで終わる女性名て多いか。リタ・・・ロベルタとかエリザベータとか。日本語だとタで終わんのて男だから(権太とか)そんで違和感あんのかもしれん。あれ?じゃあレイジは女性風か?リジーとか・・・そいやリカルドはリコで日本だと女の子ぽい名前になるし宇宙世紀の命名法則てどーなってんだ。



「ねえ・・・昨日歌ってくれたウタ、てなに?」


「昨日・・・カラオケか?」


桑名佳太とか松任島ゆきみとか微妙なもじりのアーティストが微妙なアレンジの同コード作品を大量に出していた。


「ほら、ギター弾きながら歌ってくれたやつ」


「俺はギターは・・・ああ、FMネットワークのメビ・・・円環の果てに、か」


カラオケマシンにない曲はコレで歌えや、みたいに壁に掛かってたエレキ弦が使えるアコギでローコードだけでじゃかじゃかやりながらほげほげ歌ったっけ。


「フフ、若いまま男の前から消えれたらカッコいいよね」


「ん?そういう曲なのかアレ」


「違うの?『キミが飛び越える命に私が居ても』~♪て、命まで尽くします系の切なげリリックあったじゃん」


女の気持ちを歌ってんのかと思っちゃった、と色気なく下着をつけ始める。


一気に家族臭くなってしまった・・・

ゼッタ、そういうとこだぞ。


つかあの歌詞ってナミエとギルベルトの魂を超えた因縁を書きましたとかそんなプレスで出してたような・・・そいやハマミは『理想の男を追いかける女が浮かんでくる・・・新たなる推しの匂い!』と思い切り勘違いした後、作品を見て興味を無くしていた。


・・・あいつのツボはわからん。。。


種とかヒゲとか、俺が見無いのばっか見てたし。



「他の女の事考えてる」


「ああ、ちょっと昔の妻を、な」


ぼっ、とカオを赤らめるゼッタ。


か、かわいい・・・



つか、なるほど。


「かっ、かかかかか考えてねーよ!」てウソつくよりサラリと事実を曖昧に言うほうがいいのか・・・ウソつけない体にしたホッケー神に感謝だぜ。つか高校んときのイケメン奴にそんなこと言われてたはwwwあいつ16歳にして賢者かよ・・・ほんと人はトシじゃねえな・・・


ちなここでウソをつくと大体クスンクスン泣き始め最終戦争ラグナロク(制限時間的な意味で)へ突入することとなりほぼ確実に延長料金を払うハメになる。



気分よく二人で同衾ルームを出たが、ここは無料の福利厚生設備だと思い出す。



長く生きるということは、恥と失敗を積み上げることなのか・・・



「次は船外勤務だね!」



めたくそイイ笑顔で去ってゆくゼッタを見送り、やっぱ女は人類の財産だろとか対等の不均衡とかゴチャゴチャ考え、結局平凡な答えが出る。


やっぱ殺し殺されるて因果からは遠くにいて欲しわ・・・



正におまゆー。


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姉妹に挟まれて育つと女性に対しては無難を貫けるスキルがパッシブとして発現し続けるとか聞きました。呪い系のデバフ(パーマネント)じゃないのか・・・

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