炸裂する魔法の才能
「どうしたの?」
マダムが男の子を抱える。
ああ、あれはみっくんか。
「みーちゃんがウソ言うんだもん、まほーなんてあるわけないだろ」
「あるもん!おにいちゃん使ったよ!ね!」
ん?なんのことだ??
「おちんぽいぽい~てクリームソーダ出したんだから!」
女が全員無表情になる。
「クリームソーダ、だと・・・?」
レイジ、その声でタメを作るな。
「しっ、仕方ないでしょっ!みーちゃんを助けるために・・・出したくて出したっ・・・の?」
アマーリエ、なぜ頼んでもいない身内的積極弁護姿勢から疑いの眼差しになる。
俺を信じろ。
たぶんお前らが想像してるソレは出しなくなければ出ないモノだぞ。
「幻覚だよ幻覚。あまりの暑さと脱水症状でクリームソーダっつー共通の幻覚を見たんだよ。滅茶苦茶精細で味覚触覚まで確かだったけど、知覚すべてが幻惑されるなんつーのもあると言われたらそんなもんかて納得できるだろ」
「おにいちゃんもっかいやって!」
みーちゃんが叫び女たちが精子に・・・静止に動く。
「別にかまわんぞ、おまえらも勘違いすんな。おちんぽいぽい~」
左手をヒラヒラと振る。
「クリームソーダ出ろ!ぱっ」
手のひらを上に返すと、メロンシロップのソーダ水に氷とバニラアイスが浮かぶクリームソーダが出現した。
ん?
「まずいな、極限の脱水症状で脳に障害が残ったのかもしれん」
ホッケー部のタックルを食らった気分だ。
脳がガン揺れしクラッとする。
正直、幻覚系はマズイ。
自分では絶対に治せないし、治療も死ぬまで終わらない・・・らしい。
この作品・・・虚構世界で俺はリーゼという人型宇宙戦闘機に乗ることになるハズだが、戦闘中に女の笑い声が聞こえ、「おい!いま俺を笑っただろ!どこに隠れた!!」つって突然コクピットの中を這いずり回りそのまま撃墜されるなんてことが絶対に起こる。心療内科で幻聴と診断され、納得し、薬の投与を受けつつあっても防ぎようがない。なぜなら防ぎようも無く聞こえるのが幻聴だからだ。
「ほらあー!」
みーちゃんが俺の手からブツを持ち去る。
みーちゃんもか・・・すまん、俺の安い陶酔感の犠牲にしてしまって。
責任はとるからな。
湯舟に貯めたクリームソーダの幻覚の中で愛を確かめ合おうぜ・・・
「す、すげえー!どうやったの?!」
「おにいちゃん、みっくんにあげてもいい?」
そっちのガキも見えんのか?精神汚染てやつ??
「あ、ああ・・・みーちゃんが居ないのに気づいて絶賛激怒中のアマーリエに勇気出して知らせたのがそのガキだ、みーちゃんの命の恩人だぞ。お礼もちゃんと言えるか?」
忘れてたわ、この餓鬼居なかったシャッターの外側で煮えたみーちゃん見つけてショックでうんこでなくなって大腸破裂で死んでたじゃん俺にとっても仮想命の恩人だわ。
「うん!みっくん、ありがとう・・・はい」
「うん。あのにいちゃんが気づいてくれたんだ。いっしょにのもうぜ」
かわええの~~~~
なにげにアマーリエが打ちひしがれてる。
「おいアマーリエ、そんな落ち込むなよ。全部おまえのせいだけどよ・・・ほら、ティラミスの幻覚だけど見えるか?確かイタリア語であたしをエロい気分にしてって意味だった気がすっけど女は砂糖食えば元気でるだろ、食えよ」
見える、見えるぞおまえにも見える!
卵黄とクリームを混ぜたカスタードムースでコーヒーシロップに浸したクッキーを挟みチョコ塗ってタッパーに入れたヤツ(うまい)じゃなくてケーキ屋さんで食うみたいなちゃんとしたのが小じゃれた皿に金色のフォーク付きで出現している。
うつろなアマーリエの視線はその幻覚に左右の焦点を彷徨わせつつ、フォークをとった。
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