第27話
「そうですか……ホンジョウ、コウダに続き、トモヒロが」
「……」
「……とにかく、あなた方が戻ってきてくれてよかった。順次不快の森の突破の準備をこちらで始めておきます。あなた方は部屋でゆっくり休んでいてください」
「……はい、ありがとうございます」
俺たちは帰った後も気分が落ち込んだままだった。
理由は明白、金田が亡くなったことが堪えているのだ。
「じゃあ、また」
「……うん」
そして俺たちは別れ、それぞれの部屋に入る。
俺は自分の部屋に入るとベッドに着の身着のままダイブした。
「……うぅ」
もう、今日は何もできる気がしなかった。
帰り道のことだって俺は何も覚えていなかった。ずっと呆然としていたからだ。
現実を受け入れられなかった。
「あああああああ!!!!!」
俺は枕に顔を埋め、ずっと叫んだのだった。
***
(side 甲崎春樹)
「あ、三人死んだんだね」
『うん。名前、言う?』
「いいや。後で別口から報告来るだろうし。その時聞くよ」
『別口?まさかルールイ達には内緒で仲間作った?』
「いいや、元々ルールイ達が仲間になる前にいたんだよ。協力者が」
『そうだったんだね』
夜。
僕は自分の部屋でルールイから報告を受けていた。
何の報告かと言うと、不快の森とか呼ばれてるどこにでもある普通の森の件についてだった。
あそこには確かナックラヴという魔獣がいた気がするが……。
「彼は?」
『無事。キエルの幻術で無事騙せてる……ムカつく』
「そっか。そろそろキエルに対する嫉妬やめようね」
そう言うとやはり帰ってきた言葉は“無理”の一言だった。
どうも彼女はキエルをライバル視している印象があるんだが……なんでだろうか。
まぁいいか。
「とにかく、当初の目標は達成したよね。二人殺れた」
僕はこの成果に大いに満足していた。
早速これをスバルとランバルトに報告することにした。
「おーい、スバル」
『ん?なんだご主人』
「成功したよ」
『ん?あぁ、あれか。そうかそうか、それは良かったな。これは勿論?』
「うん、ネヴァには内緒だよ」
僕は彼女が持つ美しい、不殺の意志、と言うものには共感しているが、それは現実には無理と言うもの。
だから代わりに僕がそれを担う。
まぁ、恨みとかは募りそうだが、それも全て魔王がいなくなれば消えて無くなるはずだ。
生き残った魔獣は森の奥深くでひっそりと生活するか……後はあれだね。土地をどこか陣取って固まるとか。
まぁそれらは後で考えるでいいでしょ。
『分かったらネヴァの姐さん怒りそうだなぁ……覚悟しとけよ?』
「ハハッ、そうしとく。あ、進捗どう?」
『ボチボチ、だな。ま、もうすぐ行けるだろ』
「そっか。今度協力者と顔合わせといて。日付とかはこっちから連絡するから」
『おう。んじゃあなぁ』
そう言ってルールイからスバルの声は聞こえなくなった。
その後ランバルトにも同様の報告をすると、
『なるほどな。だったら、少しだけ早めるか』
「ていうかどこまで浸食できてんの?」
『もう半分くらい行ってるぜ。これなら十分な資金を調達できる。これくらいありゃあいけんだろ』
「そっか。そっちもよろしくね」
『おう。魔王様の為だ、そこは任せろ。その代わり──』
「うん。任せて。全て終わったら約束は守るからさ。そこはちゃんと確約を取ってる」
『おう。期待してるぜ』
そしてランバルトの声がこの部屋からなくなった。
「ふぅ……」
僕はベッドに着の身着のままダイブする。仕事で汗をかいてそのままだが、今日はいいだろう。
「彼らが帰ってきたら、一回会った方がいいかもしれないなぁ」
でも今の僕はただの城の従業員。会えるわけが──
「あ。この手があったか」
彼らが置かれている状況を利用すれば、会う理由は何とでも言える。向こうが。
「ルールイ」
『何?』
「カオリに指示を出すから繋げて」
『……今度はカオリ。分かった』
そしてルールイは不服そうにカオリのすぐそばにいるであろうムシカゲとパスを繋いだ。
「カオリ、聞こえるかい?」
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追記
10/2 誤字修正しました。PS4しながら。
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