集団転移が起きたけど、“トカ言語”とか言う謎スキルのせいで僕だけ城の庭師に弟子入りすることになりました

第26話

　俺たちは今長い闘いに臨んでいた。

　聖剣を起動させ、更に攻撃力を上げてはいるがいまいち決定打にはなっていない。

　ならばその先を出すしかない。

「久馬！ヘイト頼む！」

「分かった！！常葉、援護！！」

「ええ！！みんな、私に合わせて！！」

　久馬が走り出す。それと同時に数多の魔法が魔獣に向かって放たれた。

「GAAAA！！！」

　先ほどと同じように魔獣が咆哮を放ち魔法をかき消そうとするが、今度はそうはいかなかった。

「GA！？」

　かき消えなかったことに驚いたのか、一瞬だけ反応が遅れた。

　その瞬間、魔法が魔獣の体に直撃。

「顎（あぎと）！！ブレイクバイト！！」

　そして怯んだ魔獣に向かって、凶悪な牙を携えた口が生えている盾で魔獣を殴る。

　それと同時に鋭い牙が魔獣の肉を裂いた。

「GAAAA！！！」

　肉を裂かれたのが予想以上に痛かったのか、魔獣の悲鳴が森中に響いた。

「今だああ！！！」

　俺の叫びに、俺、金田、そして西が駆けだす。

「畳みかけるわよ！！」

　そして後ろから常葉の声が聞こえたと同時にさっきと同じかそれ以上の魔法が放たれた。

「絶剣、楼斬り！！！」

「極技、正拳翔！！！」

「聖剣よ、更に俺に力をっ！！勇者の一撃（ブレイブスラッシュ）！！！」

　更に魔獣が怯んだその瞬間、俺たちが放てる最高火力で奴の体に肉薄した。

　ズタズタに切られ、片腕が切断され、足の骨も折られ、そして下半身にあった口にあった牙も折られている。

「これで──」

　そして俺が止めをさそうとしたその時だった。

「GAAAA！！！」

「っ！？」

　最後の悪あがきなのか、残った腕を振り回した。

　しかしそんなものに当たるわけもなく俺たちは余裕で──

「っ！？急に体が重──がはっ！？」

「「っ！？」」

「金田っ！！」

　久馬がそう叫ぶ。が、金田はそれに反応することなくその腕によって奥に飛ばされてしまった。

「常葉！！！」

「分かってる！！！みんなっ！！！」

「真田と海子は金田を頼む！！」

「「了解！！」」

「うおおおおお！！！」

「俺も行くぞ銀上！！！」

　俺は無我夢中で奴に向かって剣を振るった。それと合わせるように常葉ら魔法師組と西、そして久馬が攻撃を仕掛けた。

「終われえええええ！！！」

　そして俺が首を刎ね、断末魔を上げることなく目の前の巨大な魔獣はついに地に伏せた。

「金田！！」

「……」

「常葉、どうなんだ！？」

「……今回復魔法をかけてる。けど」

「……けど、なんだよ」

「内臓が、あの一撃でいくつか潰れてしまっています。それに加えて口から大量に出血している。これを治療するにはそれこそ王都にいる曽我かカリナさんしか……」

「真田……持つのかよ。今から王都まで行くまでに、持つのかよ」

「……」

「おい、真田──」

「無理ですよ！！」

「っ……」

　悲痛な真田の叫びが森に響いた。その言葉に俺たちは絶句するしかなかった。

「なんでっ……」

　西が絞り出すように声に出す。俺も同じ気持ちだった。

　なんで、金田は避けられなかったんだ。十分避けられる距離だっただろう。なのになんで──

　その時、金田の体がビクリと動いた。

「金田！」

「……銀、上。どうやら……俺はここまでらしい」

「な、何言ってんだよ。まだお前は──」

「もう、無理だ。治せない」

「っ！？」

「俺の体だ、一番よく知ってる。だからわかるんだ。これは……もう治らない」

「……」

　その言葉に俺は歯噛みする。

　俺は勇者だ。なのに、仲間一人助けられない。

「何、悔しそうな顔してんだ……銀上。お前は、できることをしたんだ。俺が……ミスったから、油断……したからこうなってる。だから……自業自得、なんだよ」

「自業自得って……お前何を」

　すると、金田はさっきから細めていた目を遂に閉じた。

「……あぁ、これで俺の人生は終わりのようだ。みんな、がんばれ……よ……」

　そして金田の体から力が抜け、持ち上げていた腕がだらりと、落ちた。

「あっ、あああ……あああああああ！！！！！」

「金田が……金田がああ！！！」

「っ……」

　俺たちしかいない森の中で、俺たちの泣き喚く声が響いた。

　今はそれしか、できなかった。

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　追記

　☆200達成しました！！

　ありがとうございます！！

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　本当にありがとうございます！！

　追記の追記

　10/2 誤字修正致しました。