第25話

「……ついに来たか」


「ここが、おそらく魔獣がいるとされるところだ」


 俺たちは三日間野宿などをしながら進み続け、とうとう魔獣がいるとされる森の中にある不自然に開かれたここに辿り着いた。


「「「「「っ!?」」」」」


 その時、奥からなにやら強烈な魔力が発せられた。


 俺たちは急いでそれぞれの武器を手に取り構え始める。


 魔獣は俺たちの存在に気づいたのか……?魔力が発せられた場所を探しても魔獣の場所は分からない。

 一体どうやって俺たちの存在に気づいたんだ?


 すると、後ろから一人の男子が前に出て、その眼鏡で目の前を観察するように目を細めた。


「これは……一種のテリトリーになってますね。僕たちはもしかすると、誘われたのかもしれません」


「そうなのか?真田」


「ええ。僕のスキルがそう示しています。それとまだ魔獣は僕たちを襲う気はないそうです。ですので、今から魔獣の位置を特定するのでしばしお待ちを」


「頼む」


 真田紀彦さなだのりひこ

 彼のスキルは“測定”というもので、かけている眼鏡に魔力を込めると目の前で何が起きているのかが瞬時に分かり、そしてその先のことまで知ることができる。

 真面目な彼にぴったりなスキルだ。


 そして彼が魔獣の場所を調べること2分。


「出ました。この先約200mの場所にいると思われます」


「やはりこの先にいるのか……」


「気を付けてください。この先にいるのは間違いないですが、即座に神経を狂わせる弱体魔法をかけられてしまいます。行く前にバフをかけておいた方が」


「分かった。それじゃあよろしく頼む」


「ええ。海子さん」


「うん」


 そして俺たちは覚悟を決め、ついに元凶たる魔獣と向き合う為に奥に進み始めた。


「「「「「っ!?」」」」」


 そして奥へと警戒しながら進んでいたその時、俺たちの体に強烈な圧がかかった。

 これが……最後の弱体魔法!


「みんな、大丈夫か!?」


「うん!木山さんと海子さんのお陰で!」


「俺も大丈夫だ!!」


 少しだけ膝が地に着きそうになったがなんとか持ち直した。そして俺たちの目の前についにその魔獣が姿を現した。


「……」


「これが……」


「ああ」


 俺たちの身長の三倍以上のデカさに俺たちは一瞬言葉を失いかける。


 上半身が人間のようなものになっているが、下半身が獣のような四足歩行になっていて、ケンタウロスのような体をしている。

 だが頭を見ると一つの目しかないし、下半身には大きな口が存在していた。


 異様な魔獣だった。


「みんな!!」


「「「「「っ!!」」」」」


 俺が叫ぶとみんな気を取り戻しすぐに魔獣から離れた。


 しかし、その間も魔獣が動くことは無く俺たちの動きを静観していた。


 舐められている。その事はすぐに分かった。


「久馬!!」


「分かってる!!」


 久馬と俺はすぐに魔獣に向かって走り出した。その動きに合わせるように金田ともう一人──本条のパーティメンバーだった剣士のスキルを持つ西康太にしこうたが左右に散開した。


「岸田!!」


「う、うるさい!分かってんだよ!!」


 西の叫びに岸田が答えた。

 

 そして岸田が両手をバッと広げると、両手の指から糸が勢いよく飛び出した。その糸は周りの木に絡みついてさらに伸びていき、


「っ!?」


 魔獣の体を縛り付け、動きを封じた。


「出ました!!そいつの魔獣名称は“ナックラヴ”です!!目は一つしかないと思って回り込んでも油断してはいけません!!ナックラヴには空間把握能力があります!!気を付けてください!!」


 魔獣について調べてくれた真田がそう叫んだ。その情報を理解した俺はアイコンタクトで金田と西に俺の動きに合わせるように指示を出す。


「はぁっ!!」


 俺は剣に魔力を込め、渾身の一撃を放つ。


「GAAAAAA!!!!」


 しかしそれはどこから取り出したのか、魔獣の手にいつの間にあった剣によって防がれてしまった。


「金田、西!!」


「透振破!!!」


「速刹斬り!!!」


 俺の掛け声に合わせて左右からそれぞれ技を繰り出した。


「GAAAAAA!!!!!」


 しかしそれらも魔獣が使った魔法によって生成されたシールドによって防がれてしまった。


「今よ!!」


炎の矢フレイムアロー!!」


「風刃!!」


「魔術式、焔!!」


 そして後方から魔法師である彼らによる援護が来た。

 それに合わせるように俺たちは魔獣の元から離れる。


「GAAAAA!!!!」


 しかし魔獣に向かって行っていた全ての魔法は咆哮によってかき消された。


「……強いな」


「あぁ。もっとギアを上げていかないと、倒せない」


「久馬、行けるか?」


「任せろ。あぎと


 俺たちは更に攻撃を激化させるために、それぞれ出来ることをし始めた。


「金田、西」


「おう」


「僕はちょっと溜が必要かな」


「分かった」


 それを聞いた俺は、握っていた剣に力と魔力を込めた。

 




「──聖剣、起動」




 そして、勇者スキルの本領の一つを発揮させた。



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