第23話

「うんうん、うまくいってるようだね」


 僕は城の外の庭の景観に気を付けながら、少しだけ伸びている木の枝を見つけたので、それをスパっと切った。

 

 それはストンと地面に真っすぐに落ちた。


『やぁ、ご主人様』


 と、その時草むらから一匹のトカゲが出てきた。


「ん、キエル?どうしたの?」


『もう大抵の魔法覚えちゃってねぇ……まぁ端的に言うと、飽きた』


「飽きたって……」


 彼女の名はキエル。

 つい三日前、ランバルトのところに行った際偶然いたのだ。





 それはランバルトと打ち合わせをした帰りだった。


『あら?あなたは……』


「ん?」


『お、私の言葉がわかるとは……成程あなた様がムシカゲどもが喋っていた』


「君は?」


『私はコモドレルス。魔獣ですらない、ただの虫ですよ。もしかしたら、虫ですらないかもしれません』


「……虫?」


 虫と呼ぶにはあまりにも大きなその図体は僕を混乱させるのには十分だった。ルールイ達ムシカゲを見ても思ったことだが、この世界の虫は大きすぎるのでは?

 というか、爬虫類も虫として認識されているのだろうか、この世界では。


「まぁいいや。それで?どうして僕に話しかけたんだい?」


『あなたを探していたんですよ。我らの虫の王』


「虫の王?」


『ええ。我らと会話することができるあなたは間違いなく虫の王だ』


 虫の王と言うその単語は気になったのだが……今それを調べる暇はない。


「それで、君はなんで僕を探していたのかな?」


『もちろん、私を傘下に加えて欲しいからですよ』


「傘下に?なんで?」


『一番の理由はあなたが虫の王だから。もう一つの理由はコモドレルスはもうからですね』


「君だけ?」


『ええ。人間に駆逐されました』


「……」


 果たしてそんなことは可能なんだろうか、この世界の人間如きに。


『疑問に思われていますね。まぁそれも分かります。私だってあの時は本当の恐怖と言うのを味わいましたから』


「……」


『まぁ、駆逐された理由は単純です。私たち、大量発生した時期があったんですよ』


 海外のバッタが発生して食物を食い荒らしたというニュースを見たことがあるが、それに似たようなものだろうか。


 なるほど。


 だが、それでそんなに数を減らすとは思えないのだが……。


『そうでしょう、そうでしょう。普通だったらそんなに減らないだろうと。ですが、それが起きてしまったんですよ。私もなんでこうなったのか分からないんですけどね』


「……なるほどね」


『そんなことはどうでもいいのです。という事で、私も仲間に入れて欲しいのです』





 それから彼女は魔法に興味を持ち始めた。するとみるみるいろんな魔法を覚えていき、魔法の腕はムシカゲたちをすぐに凌駕した。

 今では僕のボディガードとして役に立ってくれている。


『ということで、ムシカゲを寄こして』


「……なんでよ」


『歴史知りたい』


「だったらムシカゲたちに頼めばいいじゃん。彼ら知識は共有してるから誰に聞いても大丈夫だよ」


『分かったよ。じゃあルールイ』


『……やだ』


『え~いいじゃん』


 そして最近よく起こることが僕の胸ポケット内で起こり始めた。


 どうやらルールイはキエルのことがあまり好ましくないようで、あまり話そうとはしない。

 だがキエルの方からぐいぐい来ているので困っている、らしいのだ。


『っ、主人あるじ!』


「ん?」


『死んだ』


「おっ、そっかそっか。だったらネヴァに伝達しといて。あとランバルトにも」


『分かった』


『あ、ルールイ行かないでよぉ』


『ふん』


 ルールイはキエルを無視して僕の胸ポケットから出て、どこかへ行ってしまった。


『むぅ~』


 残ったキエルはどこか不満そうだ。


 しかし僕にはそんな二人を気に掛ける暇などなく、彼女たちを無視して仕事に戻るのだった。




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 追記

 ☆150突破(ちょい前にだけど)!!

 ありがとうございます!!


 やったぜぇ!

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