カルテ17 倉田了のコミュニティー会 その1

花巻先生にTS病コミュニティー会の参加しないかと言われたので

ぼ……わたしも参加する事にした。

わたしの周りにTS病の知り合いはいないのいで、知り合ういい機会だと思っている。


「家出るのが遅くなったけど、確か19時からだったよね」


予定より家を出るのが遅くなって、コミュニティー会開始時間19時に

何とか間に合うとは思うけど……。

病院に着き会場の2階へと向かうと、既にみんなが集まっていた。


「こんばんは。あれ、皆さん揃っている事は遅刻ですか?」

「こんばんは。時間はまだ大丈夫よ」

「それは良かったです。でも、19時になりますよね」


時計を見ると一応、19時前には着いたけど18時59分で本当にギリギリだった。


「では、コミュニティー会をはじめるが、とくにどうこうある訳じゃなく

お互い好きなように話すだけでいいぞ。話した事はもちろん、外部に漏らさないし

犯罪やモラルに反する事を話さない限りは、参加者から話しかけない限りは

こちらからはないも言わないから、プライベートな事や性的な事など何でも話せばいいぞ」


入院した時にお世話になった福沢先生の説明が終わるとコミュニティー会が始まった。

参加者は3人だけど、女子だけと言う事はみんな元男子って事に。

でも、ぼ……わたしと同じだから、逆に話しやすいかも。


「ど、どうも初めまして、倉田 了です」

「どうもはじめして、了ちゃん。ぼくは高橋みやび。

こっちはわたしの彼女の林 夕季」

「初めまして、みやびの彼女の林 夕季です」

「えーと、ここにいるって事は元男子同士で付き合ってるって事なの?」

「うん、そうだよ。でも、お互いTS病患者って事は付き合った後に偶然知ったんだ」


2人は同級生同士で付き合ってるそうで、出会った時はお互いステージIIだったそうだ。

TS病って知って付き合ったのかと思ったら違ったけど、意外と気づかない物なのかな?


「でも、みやびさんも夕季さんも、出会った頃はステージIIだったから

ある程度は気づくんじゃないのかな?」

「お互い違う学校だったのもあるし、出会った頃は声も見た目も制服も

女子だったから、案外気付かなかったかな」

「そ、そうなんだ」

「みやびと出会った時点で、わたしはステージIIの後期だったけど

ほぼステージIIIまだったわ」

「そこまでいってると、裸にならないと気づかないかも」


裸と聞いて2人が裸になって色々している事を想像してしまい、顔を赤くしてしまった。

突然、顔を赤くしたから2人も変な事を考えてると思われたかな。

ただ、恋人同士だし、そういう事をしてもいいかな。

TS病患者同士の性的な事も正直、興味があるおで思い切って聞いてみた。


「えーと、2人はもうそういうことをしてるのかな」


この質問をすると、2人が顔を見合わせるが、初対面でいきなりこんな質問したら戸惑うと言うか、失礼だよね……。

ただ、意外な事に


「しょ、正直に言うと……してます……」


とみやびさんは答えたけど、ぼ……わたしとしても安心した。


「まぁ、付き合ったらそう言う事はするけど……ちょっとうらやましいかも」


思わず本音を言ってしまし、しまったと言う顔をした。


「もしかして、了ちゃんも気になってるの?」

「……かなり」


みやびさんに言われて、素直にかなり気になってると言った。


「ぼくたちはなんかあっさりできたよね」

「そうね、意外とあっさりだったわね。ちょっと怖いとは思ったけど

好きな相手とそう言う事を出来る事の方が上だったかわ」

「そうなんだ。あと……これを聞いてもいいかわからないけど……」


わたしは、みやみさんと夕季さん、どっちが受けなの攻めなのか

かなり気になったけど、2人なら答えくれそうと思い意を決して聞いてみた。


「えーと、どっちが受けで、どっちが攻めなのか気になる……」


わたしが質問すると、また2人が顔を見合わせたけど、すぐに笑って


「確かに、それは気になりますよね」

「ごめん、初対面の相手にこんな事聞いちゃって……」

「別にいいですよ、友達にも聞かれるから慣れています」

「そ、そうなんだ」

「初めての時はわたしが受けで、みやびが攻めだったけど、2回目はわがしが攻めで

みやびが受けだったわ」

「そうなんだ……」

「その後はその時々かな。ただ、サイズの関係もあって、みやびの方が攻めな事は多いわ」

「ははは、参考になったよ……」


思ったより詳しく話してくれたから、ちょっと戸惑ったけど夕季さんは

高校の制服を着ていると言う事は、大学生のわたしより年下のに

ぼ……わたしよりも進んでいて、凄いなと思った。


「2人ともぼ……わたしより、年下のに進んでていいな」

「え?」


ぼ……わたしがそういうと、2人とも顔を合わせてたけど

これってまさかな……。


「もしかして、了ちゃんってぼくたちより年上だったの?」

「年下っていうから、そうだと思うわ。わたしも了ちゃんは年下と思ってた」


2人が小声で話してるけど、聞こえてるよ。

やはり、2人はぼ……わたしが年下だと思ってたみたい。


「もしかして、了ちゃん……いや、了さんはぼくたちより年上なんですか?」

「ぼ……わたしは19歳で大学生だよ」


最近、わたしって言いだしたけど、まだまだ僕って言いそうになる。


「だ、大学生だったんですか!?ぼくより、背が小さいくてかわいいので

同級生か年下かと思って了ちゃんっと呼んでしまいました……」

「あ、別に了ちゃんって呼んでも構わないよ。

わ、わたしもみやびちゃんと夕季ちゃんって呼んでいかな?」

「はい、構いません」

「もちろです」

「それじゃ、よろしくね、みやびちゃん、夕季ちゃん」

「こちらもです」

「よろしくお願いします」


背が小さいから、大学生に見られない事が多いから気にしない。

それに、これがきっかけで距離が一気に縮まるしね。


 わ、わたしたちが話してる、花巻先生たちの話も聞こえてきたけど

大人のする話はやはり違う。


「やっぱり、大人は違うよね」


みやびちゃんもそう思ってるけど、わ、わたしは法的には成人だけど

まだまだ大人とは言えないかな……。


「わ、わたしも19歳だから一応、成人だけど大人って訳じゃないし」

「了ちゃんはまだ恋人はいないのですか?」

「いたけど、TS病で性別変わったら、関係がぎくしゃくしてちゃって

結局別れちゃったけど、仕方がないかな」


わ、わたしも以前は彼女がいたけど、TS病で性別が変わったのもあるけど

その前から関係はぎくしゃくしてたけど、TS病で同性同士になったから

別れる事になったけど、喧嘩して別れるよりは同性だからという方が

逆にわかりやすくて、周りからも仕方がないと思えるからね。

あと、別れてたら逆に気楽なったのか、元カノは今はいい女友達として付き合ってる。


「す、すみません」

「別にいって。その前からうまく行ってなかったからね。

お互い何度も別れ話をしようとしたけど、なかなか言えなかったけど

わ、わたしがTS病になったて、はっきり別れるとなったんだ」

「そうんなんですか」

「だから、2人はお互いがTS病ってわかっても、別れないから凄いね」

「わたしはみやびが好きだから、わたしだけTS病になっててもみやびと付き合ったかな」

「ぼくも、ぼくだけTS病になってても、夕季とは付き合ってたかな。

だって、夕季は男の時から女の子ぽかったしね」


みやびさんと夕季さんは男子だった頃の写真を見せてくれたけど

確かに、夕季さんは男子の頃も男装した女子って感じだった。


「男の頃からわたしは確かに女の子ぽかったけど、それでも結構変わってるわ。

それに、男なのに女の子ぽいっって言われても、女の子同士じゃない訳で

百合カップルじゃないでしょ?」

「そ、そうだけどね」

「でも、TS病のお陰でみやびと百合カップルになれからね。好きよ、みやび」

「ぼくも女の子同士で付き合う事ができるなんておもわなかったよ、夕季」


2人は見つめ合うけど……もしかしてこの雰囲気は。

わ、わたしがそう思うと……思った通り、2人はキスをしたのであった。

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