カルテ11 コミュニティー会への参加依頼
——時はさかのぼって1か月間前
「コミュニティー会ですか?」
外来診療が終わった後、休憩をしていたら先輩医師である福沢先生に
話しかけれられたと思ったら病院で行っている患者同士のコミュニティー会への
参加を頼まれたのであったが、福沢先生はコミュニティー会の担当である。
「そう、花巻も参加してももいいんじゃないかと思ってね」
「参加する事自体は良いですが、なんで私なんですか?」
「なんでというか、コミュニティー会に1回も参加してないのは花巻だけだぞ」
「そうなんですか?」
「ああ、板垣も美浜も参加してるし、あの大森でさえ参加してるぞ」
あのといわれるあきらが参加して、私が参加してないのなら私も参加しないといけないかなと。
「それでは、次のコミュニティー会に参加します」
「わかった。あと、花巻の患者はコミュニティー会参加してない数が多いから
次のコミュニティー会までまだ1か月あるから、何人かに声をかけてくれないか」
「わかりました、話してみます」
「では、お願いな」
「はい」
病院で作っているTS病患者のコミュニティーは診断された時に紹介はしている。
とよやま病院TS科は県内にあるTS科病院の1つで患者数は300人程。
コミュニティーに登録しているのは25人なので1割に満たない。
その中で実際にコミュニティー会に参加してるのはさらに半分となる。
さらに定期的な通院が終わると、コミュニティーに来る事もなくなる。
通院していないと参加できない訳ではないが、発病年齢が15歳から17歳なので
通院が終わる頃になると、大学受験や大学進学で街を出ていくため来る事が出来なくなる。
みなみさんや了君みたく地元の大学生もいるが、大体は県外へ出て行ってしまう。
ただ、この時の出会いはコミュニティーに来られなくなっても交流は続いていて
中には結婚(同性同士も含む)したり、親友になったりしているので
出来るだけ参加して欲しと福沢先生が言っていたので、声をかけてる事にした。
「患者同士のコミュニティーですか?」
「そう。以前にも紹介したけど、参加者が少ないから参加してほしいけど
強制ではないので、断っても問題ありませんよ」
「周りにTS病の患者が居ないので、参加してもいいかもです。
入院中に少し話をしましたが、退院後は繋がりがないですし」
「参加してくれるのね、ありがとう。あとで参加申し込みの書類も渡すので
後で記入して締め切りまでに外来受付に出しておいてね」
「わかりました」
まずは了君に声をかけてみたけど、了承してくれた。
あと、了君は今回の外来で尿道が女性の位置になった事を確認したので
戸籍と名前の変更手続きと共に、コミュニティー参加の書類も渡しておきました。
——そして、3日後
「コミュニティー会ですか?」
今度はみやびさんにも声をかけてみた。
「ええ、みやびさんは林さんとお付き合いしてるいますが、他の患者さんとも
お話しても良いかと思いまして。あとは、コミュニティー会の人数が
今のままでは1人だけになってしまいますので……」
「ぼくも夕季も他のTS病患者に会いたかったので、構いませんよ。
ただ、夕季も聞いてみないとわかりませんが」
「ありがとうね。参加申し込み書は渡しておくから、締め切りまでに病院に持って来てくれれば良いわよ」
「わかりました。えーと、12月18日なんですね」
「ええ、何時もは月末の金曜日に開いていますが、大晦日ですし
24日は個々で楽しみたいと思いますので、18日になります」
「そうなんですね。クリスマスも夕季と約束がありますので18日でよ良かったです」
みやびさんは夕季さんとかなり関係が進んでいるようですが、あのような事が
ありましたがうまくいってるようなので良かったです。
「コミュニティー会の話はここまでですが、みやびさんは身体の事について気になる事はありますか?」
「えーと、特にないですがかなり女性らしくなってると思います」
「前回から4か月経っていますので、ステージIIIに入っていますね。
陰核のサイズも小さくなっていますし、そろそろ変化も終わる頃ですかね」
「最近は大きな変化は確かになくなって来てますね。
生理も思ったほどでないですし、夕季と色々話せて気が楽です」
「それはよかったわ。では、次の予約を入れましょう」
みやびさんは夕季さんを誘って参加する事になりましたが、了君とみやびさん
以外の患者にも声を掛けましたが、都合が悪く他に参加する方はおらず
了君、みやびさん、そしえ夕季さんの3人となりました。
「花巻の患者から3人来てくれて良かった」
福沢先生はこう言いますが、今回参加するのは結局3人だけとの事です。
「やはり時期的に参加者が数ないが、花巻に頼まれなかったら参加者0だったよ」
12月は色々とイベントが重なるので、参加者が元から少ないそうで
私が声をかけなければ、参加者が0だったそうだ。
「そうだったのですか」
「なんか花巻を利用したようになったが、そう言う訳じゃないからな」
「わかっていますよ。わたしも1度は参加しないといけなかったですし。
それに、クリスマスは先約がありますので」
「それならいいが。あと、コミュニティー会は単にいるだけでいいからな」
参加と言っても、ただ単にいるだけで患者同士の見守るだけだそうだ。
「そうなんですね」
「コミュニティー会は1時間程で、患者同士が話しをする場だから
医師は石ってことで、話しかけるか問題が起こらない口も手も出さないと事だ」
「ダジャレですか?」
「いや、違うぞ。参加すればわかる」
「はぁ、わかりました」
私はダジャレとこの時は思いましたが、実際に参加して
医師は石というのは福沢先生が正しいと言事を知る事になりました。
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